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和歌山ニュース 根来寺の遺跡 1日に展示施設プレオープン

根来寺の遺跡 1日に展示施設プレオープン

公開日 2020.04.01

和歌山県岩出市根来の根来寺遺跡の発掘調査で見つかった遺構や遺物を紹介する展示施設の一部が完成し、4月1日に旧県議会議事堂西隣にプレオープンする。半地下式倉庫や遺物の精巧なレプリカを展示し、繁栄を極めた中世の根来寺の姿を伝える施設。県文化遺産課の田中元浩副主査は「当時の姿を感じてほしい。子どもたちも楽しめると思うので親子で来てもらえれば」と話している。

根来寺は平安時代の終わりに覚鑁(かくばん)上人により高野山で開創され、その後根来の地に移った。戦国時代には急激に勢力を伸ばし、ポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが当時の日本で最も栄えた寺院の一つとし、「Negra」(根来)と記して世界にもその繁栄を伝えた。

1585年(天正13)に「天正の兵火」と呼ばれる豊臣秀吉の紀州攻めにより同寺は大塔、大師堂、山門のみを残すことになったが、1976年、県の大規模農道建設に伴い、発掘調査を実施。天正の兵火時のものとされる焼土層から中世の遺物が大量に発見された。地中に中世根来寺の遺跡が良好に存在していたことから山内の様子が分かり、300余りの子院がひしめく姿が明らかとなった。

展示施設は県教委が総事業費1億1000万円を投じ、昨年9月ごろに工事を開始。全体は約700平方㍍からなり、今回完成したのは北側約350平方㍍。半地下式倉庫展示施設1カ所と解説板4カ所、遺物レプリカ7カ所からなる。

半地下式倉庫展示施設は、発掘された同倉庫をシリコンで型取りし、精巧に再現したFRP(繊維強化プラスチック)製の高精細レプリカを展示する。天正の兵火の火災の痕跡が明確に残り、発掘された状態の子院の姿を伝える。

解説板では同寺境内の歴史とこの場所での子院の様子を説明。各分野の専門家が時代考証を行い、分かりやすいイラストを使って紹介している。

解説板は英語や中国語、韓国語など5カ国後の読み上げが可能で、外国人や視覚障害者にも分かりやすく伝える。

つぼや皿、瓦などの代表的な遺物を型取りした遺物レプリカを作成。遺跡があった場所で、レプリカに触れながら歴史を学ぶことができる。

残る南側は11月のグランドオープンで披露する。開館時間は午前9時から午後5時まで。年末年始を除き無休。