優しさと勇気を たかだゆき子さん絵本出版

「ゆるぎない信念を大切に」とたかださん

和歌山県和歌山市の児童文学作家・たかだゆき子さん(24)が、3冊目の絵本『ゆうきとえがお』を出版した。高齢者や障害のある人、つらい境遇にある人など、社会的弱者に思いを寄せた作品で「思いやりと優しさの心に加えて、社会を生きる上で、自分の意思を強く持って行動することの大切さを伝えたい」と話している。

生まれた時から肢体が不自由なたかださんは、幼い頃から絵本に親しんできた。自身の思いや体験を多くの人に伝えたいと昨年4月に作家デビュー。絵本の読み聞かせ会や講演活動を通じ、障害のある人もそうでない人も分け隔てなく理解し合う「心のバリアフリー」の大切さを発信している。

『ゆうきとえがお』は主人公のうさぎちゃんとゴリラさんを中心に、動物たちの絆を描いた物語。今回も、ほのぼのとした雰囲気の絵は姉のさめじまゆみ子さん(26)が担当。絵本の題名は、このほど誕生した甥っ子の名前にもちなんでいる。

両者を仲たがいさせようと、おさるさんたちが悪だくみをするストーリーで、言葉巧みにゴリラさんをそそのかし、あの手この手で誘惑。2人の仲を引き裂く行動がエスカレートしていく。

結果的に相手の思惑にはまり、うさぎちゃんにつらい思いをさせてしまったゴリラさんの「そんなつもりじゃなかった」との言葉に対しては、相手の立場になって考えることの大切さを説いている。

たかださんは「意地悪をされた側の気持ちを考えず、『よくあること』と片付ける人も多いですが、それが当たり前になってはいけない。どこかに修正する方法や手掛かりはあるはず」と話す。

たかださん自身、障害ゆえに理不尽なことや心ない言葉に傷つけられることも多かったが、周囲のさりげない優しさや思いやりに支えられてきたという。絵本には気持ちを察してくれる良き理解者や、たとえ間違った方向へ進んでしまったとしても、手を差し伸べてくれる仲間の存在を描くことを忘れない。

たかださんは「おさるさんたちを改心させるのはなかなか難しいので、強い信念を持って、誘惑を断ち切る勇気も必要。それはきっと自分の大切な人だけでなく、自分自身をも守ることにつながるはず」と笑顔で話している。

1650円(税込み)。TSUTAYAWAYガーデンパーク和歌山店、宮脇書店和歌山店、帯伊書店、宇治書店、アラオ岩出店などで販売している。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。