さよなら市民会館 42年の歴史に幕、開放も

42年の歴史に幕を下ろす和歌山市民会館

和歌山市伝法橋南ノ丁の市民会館が30日で閉館し、42年の歴史に幕を下ろす。市民に長く愛されてきた文化活動の拠点は、10月に開館する「和歌山城ホール」にその役目を引き継ぐ。さよならイベントとして、29、30日は館内を開放し、自由に見学や記念撮影などが楽しめる。市は「思い出を胸に、市民会館の最後の姿を見にお越しください」と呼び掛けている。

市民会館は1979年7月、総工費約44億円をかけて南海和歌山市駅西側の市堀川沿いに開館。市立博物館、現在は同駅ビルに移転した市民図書館と並んで建ち続けてきた。

地上4階、地下1階建て。1406席の大ホール、656席の小ホール、500人収容の市民ホール、展示室、会議室、和室、練習室、レストランなどを備える。市内の文化団体や学校の文化クラブをはじめ、国内外の音楽や舞台公演、全国規模の文化大会などに使用され、市の文化振興、発信、活動の中心を担ってきた。

多くの利用者、来館者に愛され、過去10年間では2011年度の来館者が最も多く、35万5439人に達した。

残響1・96秒の優れた音響を誇り、温かみのある木質の内装で統一された大ホールなど、設備面も充実。県建築士会は会報誌「きのくに」17年9月号で同館を取り上げ、「市民が誇れるこの建築、そしてこの建築で育まれた様々な文化。これらこそ宝だ」と評価している。

国内外で活躍する市出身のアーティストには、幼い頃に同館で優れた公演に接し、自らが舞台に立つようになってからは、活動の場として活用してきた人が少なくない。

市出身のピアニスト・中谷政文さんはことし3月、市文化奨励賞受賞記念リサイタルを小ホールで開催。子ども時代に同館で聴いたコンサートや自らの演奏会について、「脳裏に焼きついている。今の音楽活動に影響しているのは紛れもない事実」と深い思い入れを語った。

今月28日、同館での最終公演で演奏する市出身のバイオリニスト・寺下真理子さんも「私にとって特別な場所。幸せな時間を皆さんと共有できたらうれしい」と話している。

閉館が間近に迫った館内は、利用者が「ありがとう和歌山市民会館」の張り紙をするなど、思い出いっぱいの場所を惜しむ雰囲気に包まれている。

さよならイベントの館内見学は、29、30日の午前10時~午後4時。ホールの舞台に上がって撮影などもできる。

30日午後4時半からは玄関前(雨天時はロビー)で閉館式を行い、最後の別れを告げる。

問い合わせは市文化振興課(℡073・435・1194、平日)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。