西国三十三所第2番札所である紀三井寺(和歌山市)のふもとに店を構える、古民家パン屋『こむぎ処 マルキ』。素朴で優しい味わいの同店のパンはファンも多く、ひっきりなしにお客さんがお店を訪れます。「塩パン」や「あんぱん」などの定番から、「塩昆布チーズのベーグル」といった変わり種や期間限定の商品まで所狭しと並び、毎日通っても飽きない地元民自慢のパン屋です。
紀三井寺のふもとにある
古民家パン屋
紀三井寺の参道近くにひっそりと佇む、古民家パン屋『こむぎ処 マルキ』。
築100年を超えるこの古民家は、店主・中尾真帆さんの曽祖母の生家。中尾さんは幼い頃から大好きだったこの家を改装し、パン屋「こむぎ処 マルキ」という新たな命を吹き込みました。
使い込まれた木の風合いが美しい棚には、丁寧に並べられたパンたちがズラリと並びます。
取材中もひっきりなしにお客さんが訪れ、棚一面に並ぶパンはあっという間に少なくなっていきます。
「嫌味がなくて素直な味」
毎日でも食べたくなるパンたち
中尾さんは岩出市の「小麦処 福みみ」(“こむぎ処”という冠はそこからいただいたとか)などで修業した後、独立して同店を開きました。
素朴ながらも奥深く、優しい味わいが同店のパンの特徴。「お客様から『嫌味がなくて素直な味』という感想をいただいたことがあります。今流行りの“映え”はしませんが、素材本来の味を大切にしたいと思っているので、そう言ってもらえると本当に嬉しいです」と中尾さん。
中尾さんにパン作りへのこだわりについて尋ねると「こだわりらしいこだわりはないのですが…パンに使う小麦は国産のもの、野菜も母が自家栽培したものを使ったり、できる限り自分で作れるものは自分で作って、安心でおいしいパンをお客様に食べてほしいと思っています」とのこと。
カルピスバターを生地の中に巻き込んで焼き上げた「塩パン」(140円)は、牛乳やヨーグルトを多めに入れることでふわっとした食感に仕上げています。私も以前から好きなパンで、“明日のパン”を買ったはずなのにその日のうちに全部食べてしまうことも(笑)。
リピーターも多い「塩昆布チーズのベーグル」(162円)は、塩昆布のほのかな塩気とチーズのまろやかさ、そしてそれらを包み込むベーグルの風味がすごく癖になっちゃいます。一度食べたら忘れられない、個性的なおいしさです。
甘さ控えめの自家製粒あんを使用した「あんぱん」(162円)。北海道産の小豆を使用した、甘さ控えめの自家製粒あんがたっぷり。パンの中に入っているあんこはお店で販売もされており、キロ単位で買っていくツウもいるほど根強い人気があるとか。
チョコレートのビターな甘さと、パン生地のほのかな塩気がたまらない「チョコのリュスティック」(冬季限定商品・270円)。リュスティックとはフランスパンの一種で、外側は香ばしく内側がもっとりとした食感が特徴のシンプルなパン。そのリュスティックの生地にくだいたバトンショコラをふんだんに入れています。落ち着いた甘さで男性のファンが多いそう。
取り置きもOKなので、お目当てのパンがある場合は電話かインスタグラムのDM(前日17時まで)で連絡しておくと安心です。
パン作りへの情熱と愛情が
おいしいパンを作る
中尾さんがそれぞれのパンのこだわりについて話してくれる時に、とても穏やかな笑顔で一つひとつ丁寧に説明してくれたのが印象的でした。そこにあるのは、パン作りへの情熱と愛情。だからこそ「こむぎ処 マルキ」は多くの人々に愛されているのでしょう。
名称 | こむぎ処 マルキ |
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所在地 | 和歌山県和歌山市紀三井寺1102 |
電話番号 | 073-446-0086 |
営業時間 | 9:00〜売り切れ次第終了 |
定休日 | 火・水曜、第3月曜 |
@maruki_kimiidera |
和歌山市出身・在住のフリーライター。おいしいものをこよなく愛し、ロカルわかやまではグルメ記事ばかりを担当。生まれ育った和歌山の‟素敵”を、もっと発信していきたいです。多趣味で、カフェ巡り・カメラ・ミニチュアフード作り・読書・映画鑑賞などが好き。