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【和歌山県すさみ町】「仏坂 和三郎茶屋」伝統を繋ぎ、想いと人を“むすぶ”古民家カフェ

公開日 2025.05.01
2025年5月4日 OPEN!!

和歌山県すさみ町周参見の太間川沿い、熊野古道・大辺路にある国の登録有形文化財「井澗線香水車小屋」。その隣に、2024年9月にプレオープンしていた古民家を改修したカフェ『仏坂和三郎茶屋』が、2025年GWに本格オープン!

世界遺産・熊野古道と線香水車

すさみ町周参見にある世界遺産・熊野古道大辺路ルート仏坂登山口近くに、紀伊半島で現存する唯一の「線香水車」という「井澗家住宅線香水車小屋」(国の登録有形文化財)があります。

井澗家住宅線香水車小屋(国の登録有形文化財)

線香水車とは、杉の葉やタブノキの枝葉を粉砕し、線香の原料となる粉を製造するために使用される水車のことです。 井澗家の線香水車は、江戸時代に作られ、昭和初期まで稼働していましたが、その後、放置され朽ち果ててしまっていました。その水車と水車小屋を修復し、熊野古道を訪れる人々と地域の交流拠点としようと「すさみ線香水車復活・再生プロジェクト」が2020年に立ち上がりました。

クラウドファウンディングやたくさんの方から賛同と支援を受け、水車の復元作業が開始しました。

水車の力で杵を上下させ、臼で粉砕する仕組みは、当時の自然エネルギー利用の象徴。

先祖の願いを繋ぎ、
訪れる人との交流の場へ

改装した古民家カフェ『仏坂 和三郎茶屋』に掛けられた素敵な暖簾。

店名の「和三郎」は、かつてこの地で線香製造を営んでいた井澗家の先祖の名前に由来し、地域の歴史を継承する意味が込められています。

プロジェクトが始まるきっかけは、オーナーの井澗(いたに)洸介さんの祖父が、入院中に残した「故郷が恋しい、水の流れが恋しい、水車の音が思い出される」というメモがきっかけでした。そして、洸介さんの姉、山下桃子さんを中心に井澗家の家族全員が協力し、この水車という自然の恩恵を生かした産業を復活させ、この地を訪れる方との交流の場としていきたいと動き出しました。

改装された店内入り口。

左官さんが描いてくれた土壁の稲穂。

水車の復元が決まり、水車小屋が国の登録有形文化財に認定され、いつしか、お祖父さんの願いは、「かつて線香水車が動いていた頃の懐かしい風景と活気をこの地に再現したい」という洸介さんの想いとなり、この地に古民家を改装したカフェをオープンさせることになりました。

写真提供/仏坂 和三郎茶屋

素敵なカウンター越しに、おむすびを握るオーナーの井澗洸介さん。

かまどでじっくり炊く、
美味しいごはん

かまどに薪をくべ、丁寧に炊かれる白ごはん。「♪はじめちょろちょろなかぱっぱ〜」炊き上がるのを見届けたくなる、惚れ惚れする美味しいごはん。この光景を見られるだけでも幸せな気持ちになりますね。美しいかまどや店内の改装には、空間プロデュースから始める飲食店経営に携わる源じろうさんが、井澗さんたちの想いに賛同し協力してくれたのだとか。

かまどに薪を焚べて、じっくり丁寧にごはんを炊き上げます。

かまどで火守りをする井澗洸介さん。

かまどでじっくり炊き上げたご飯は、一粒一粒がツヤツヤです。

写真提供/仏坂 和三郎茶屋

気温、薪、火力、釜の中から聞こえる音、香りなど、様々な要素を見極め、美味しいごはんを炊き上げています。しっかりと「おこげ」ができていることは、美味しいごはんの証です。

写真提供/仏坂 和三郎茶屋

ふんわりとやさしく結ばれた「おむすび」。

すべて手作り 
地産のこだわりの具

おむすびの具にも、もちろんこだわっています。地元の食材を中心に、地域ならではの味わいが楽しめます。

左/カツオ、右/ツナマヨ(各種230円~)

地元で水揚げされるマグロの幼魚「シビ」を使ったツナマヨおむすび。「シビ」とは、関西や紀州地域でマグロの幼魚を指す呼称です。鮮度が高く、ツナ缶のおむすびに比べ脂が乗っていて、とても風味豊かです。春先のシビが出回るまでのカツオの生節を使ったおむすびもとても美味しかったですよ

鰹節は、すさみの「匠創海(たくみそうかい)」の昔ながらの製法のものを使用。

おむすびは、テイクアウトもできますのでお気軽に♪

おすすめランチセット

ランチセットも地元産の食材にこだわっています。選べるおむすび2種(季節や日によって内容が変わります)に、地元の「みずみやび農園」で採れた旬の野菜や朝どれ筍の天ぷら、地元「第三浜丸」が釣り上げた魚を使ったメニュー(その時々の水揚げ次第でメニューを考えます)など、地域の特色を生かし、旬の食材を使った新鮮で身体にうれしい定食です。

この日のランチは「きのこ香るいが蒸しだんごのうずみ〜和歌山の山里風〜」。

古座川の郷土料理「うずみ」。

「うずみ」とは、具材をご飯の中に埋めて隠すようにして食べる郷土料理です。龍神産の肉厚で香り高いしいたけがたっぷり入っています。初めていただきましたが、素朴でとても優しい味で、ほっこりしました。

今の時期のおすすめは、朝採れの新鮮な筍の天ぷら! 春の味覚をお楽しみください。

イベント限定メニューや
体験プログラムも

プレオープン中は、おむすびのワークショップや郷土料理研究家の宮本ともこさん による、おむすびと郷土料理の特別なランチ会なども開催されました。今後も和歌山やすさみの文化を食を通じて体験できるイベントも行われる予定になっています。

営業日やその日のメニューなど、最新の情報はお店のインスタグラムで発信していますので、チェックしてくださいね。

豊かな自然と水量を生かし線香作りが行われていた周参見の地、祖父の想いを繋ぎ、もう一度、線香水車が動く景色を復活させたいと言う子孫の想い。その想いに関わった多くの方との縁が繋がりオープンした「仏坂 和三郎茶屋」。

熊野古道歩きやハイキングにこの地を訪れ、素晴らしい自然と美味しい食事を楽しんでください。目を閉じ、耳をすませば、近い将来、線香水車が「トントン」と動く音が聞こえてくるかもしれませんね。

名称 仏坂 和三郎茶屋
所在地 和歌山県西牟婁郡すさみ町周参見1051 地図
電話番号 090-4282-3542
営業時間 11:30~完売次第終了
定休日 月~金曜 ※原則、土・日曜のみの営業。5月4日と5日は営業(営業日スケジュールはインスタグラムで告知)
駐車場 あり
Instagram @hotokezaka.wasaburou.chaya