「南紀熊野ジオパーク」には、専門家の先生方が選んだ「ジオサイト」を紹介する12枚のカードが存在します。選定の理由は、地質的に珍しかったり、地域の暮らしと密着していたり、防災の観点だったりとさまざま。先生方ご推薦の12サイトと、周遊におすすめのくしもと観光周遊バス「まぐトル号」を紹介します!
目次
地球を学び・親しみ・丸ごと楽しむ「ジオサイト」
「南紀熊野ジオパーク」は、プレートの沈み込みに伴って生み出された3種類の大地によって構成されています。それらを土台に、独特の景観が形づくられ、多種多様な動植物が育ち、そこから熊野信仰や筏流しなどエリア特有の文化や歴史が育まれてきました。地域としては新宮市、白浜町、上富田町、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町、奈良県十津川村の一部の10市町村。紀伊半島の南部地域を中心に、東西・南北とも約60㎞と、広いエリアに分布しています。
おすすめジオサイト1.
「フェニックス褶曲」〜「天満の大津浪記念碑」
【フェニックス褶曲】
すさみ町のジオサイト「フェニックス褶曲」。砂岩層が完全に固まる前に、陸側に押し付けられながら折り畳まれ、さらに大きな力が加わって全体的に上下が逆さまになっています。
【古座川の一枚岩】
巨大な岩壁で知られる古座川町のジオサイト「古座川の一枚岩」。冷えて固まったマグマの塊が、大地の隆起によって地上に現れ、川に侵食されて岩壁になりました。
【串本海域公園】
世界最北のテーブルサンゴの生態系が成立している「串本海域公園」。本州最南端の町を代表する観光スポットで、日本でも屈指のダイビングスポットとして知られています。
【見草崎】
白浜町のジオサイト「見草崎」。地層は潮の満ち引きや暴風時の大波によってできた縞模様で、このことから昔、この地帯は波の影響を受けやすい浅い海だったことが分かります。
【小松の不整合】
北山村の「小松の不整合」は、目を凝らして探さないと見つけにくいジオサイト。場所は小松の筏下りの下船場周辺で、北山川の浸食によってできた岩場が広がっています。
【天満の大津浪記念碑】
ジオを意識することで防災を考える機会にも。「天満の大津浪記念碑」は昭和19年に発生した熊野灘を震源とする東南海地震を風化させないために建てられたものです。
おすすめジオサイト2.
「太田川の環流丘陵」〜「色川の土石流犠牲者供養岩」
【太田川の環流丘陵】
「太田川の環流丘陵」は、川の蛇行によって形成された細長い山のすそが、川の流路がショートカットしたことで孤立。丘陵として平野に残り、今は水田として利用されています。
【宇久井半島】
沖にあった島と陸地の間に砂がたまって繋がった「宇久井半島」。縄文時代の海面は今よりも数m高く、やがて海面の低下に伴い波で運ばれた砂がたまって陸続きになりました。
【富田川の潜水橋】
古くから洪水や氾濫を繰り返してきた富田川。そのためこの地域では治水対策が行われており「富田川の潜水橋」もその一つ。増水時には水面下に潜る仕組みになっています。
【サラシ首層】
海岸にポツンとさらされた「サラシ首層」。礫を含んだ土石流が海底を流れ下り、緩やかな斜面にたまった後、陸地になって侵食。軟らかい部分が削られ、硬い部分が残りました。
【荒船海岸】
荒々しい岩が目の前に広がる「荒船海岸」。泥岩の比率が多く、水平に堆積した地層が地殻変動によって垂直に近い角度で立ち上がり、地層の上下が逆転している場所もあります。
【色川の土石流犠牲者供養岩】
「色川の土石流犠牲者供養岩」は、弘化3年(1846年)に発生した土石流で犠牲になった色川地区の住民を供養しつつ、災害の歴史を残すことで後世への警鐘・啓発としています。
駅から観光地までスムーズに楽々!
くしもと観光周遊バス「まぐトル号」
串本町は本州最南端の町で雄大な太平洋に面し、東西に長く延びた海岸線はリアス式海岸で複雑に入り組んだ地形をしています。奇岩・怪石の雄大な自然美に恵まれ、吉野熊野国立公園にも指定。もちろんそこには、全国に誇るたくさんのジオサイトが点在しています。より便利に効率的に、併せて串本町のグルメや観光も一緒に楽しむなら観光周遊バス「まぐトル号」に乗車を。JR串本駅から町の観光地まで、スムーズに行けて帰りも楽々です。
◇運行…8:50から/最終17:05
◇料金…2日券1000円(1乗車につき500円)、小学生半額
◇購入…「まぐトル号」バス車内または串本町コミュニティバス内(串本町コミュニティバスにも乗車可)
◇特典…2日券購入でまぐトルカードを1枚、さらにジオパークセンター、トルコ記念館に入館して2日券を提示すると、まぐトルカードを1枚ずつ進呈
◇時刻表等の案内…https://nankikumanogeo.jp/magutorugo/
「まぐトル号」停車!家族でのんびりジオ観光
【海金剛】
鋭く切り立った岩礁に荒波が砕け散る迫力満点の景勝地。朝鮮半島の名勝・金剛山が名前の由来。こちらもジオサイトで、流紋岩からなる断崖・絶壁が特徴です。
【樫野埼灯台】
大島の東端、明治3年に初点灯した日本最古の洋式石造り灯台。ラセン階段を登ると太地町の梶取崎まで見通すことができ、町花である水仙の群生地としても知られています。
【橋杭岩】
海岸から紀伊大島に向かって一直線に、お大師伝説が残る奇岩群。ジオとしては隆起した火成岩と堆積岩で、波の浸食によって硬い火成岩だけがむき出しになりました。
【トルコ記念館】
トルコ国との友好の証として、トルコ軍艦遭難慰霊碑の近くに建てられました。館内には遭難したエルトゥールル号の模型や遺品、写真を展示。当時の様子を解説しています。
南紀熊野ジオパークセンターへも「まぐトル号」で!
潮岬観光タワーに隣接するジオの拠点「南紀熊野ジオパークセンター」。太平洋の大パノラマが広がるジオの海を眼下に、五感でジオを学び・楽しむことができます。館内には、ジオパークの概要を紹介する大型地形模型やプロジェクションマッピング、展示のほか、大地の秘密を知る体験や実験コーナーもいっぱい。地元をこよなく愛するジオパークガイドも常駐で、ジオへの行き方から近くの観光案内まで、リアル情報が手に入ります。
名称 | 南紀熊野ジオパークセンター |
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所在地 | 和歌山県東牟婁郡串本町潮岬2838-3 |
電話番号 | 0735-67-7100 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 無休(年末年始のみ) |
駐車場 | あり |
web | https://nankikumanogeo.jp/ |
和歌山が誇る世界遺産はジオサイトでもあるのです
【那智の滝】
日本一の落差を誇る「那智の滝」は、古くから熊野信仰の御神体として崇められてきた神域。地質としては海底でできた砂岩と泥岩の地層と、マグマがつくった火成岩から形成。長い年月をかけて侵食され、火成岩が岩壁となって剥き出しになりました。
【神倉山のゴトビキ岩】
熊野速玉大社の摂社で、祭神が降臨したとされる巨岩「ゴトビキ岩」が御神体。五百数十段の急峻な石段を登った場所にあり、毎年2月に開催されるお燈まつりが全国的に有名。地質的にはこのように球形に風化した岩をコアストーンと呼んでいます。