自動運転バス けやき大通りで実証運行
和歌山市中心部のメインストリート「けやき大通り」で14日、自動運転バスの実証運行が始まった。JR和歌山駅前から和歌山城公園駐車場までの約2㌔の片道運行となっており、初日の午前は関係者向けの走行が行われ、乗車した尾花正啓市長は「ブレーキや信号の感知など安全性は通常のバスとほとんど変わらない。多くの皆さんに体感してもらいたい」と呼びかけた。
【写真】自動運転バスを体験し笑顔の尾花市長
人口減やドライバー不足などにより、公共交通の維持が課題となる中、自動運転が実用化されれば、持続可能な移動手段の確保に大きな役割を果たすことが期待される。
実証運行の事業者は、群馬大学発のベンチャー企業、日本モビリティ㈱(群馬県前橋市、小峰千紘社長)で、自動運転に関して70件以上の実績がある。
今回の運行には、小型のノンステップバスに同社が位置測定や障害物認識、信号確認などのためのレーザーセンサー、カメラなどを搭載した車両を使用。事前に製作した路線の3Dデジタルマップを基に、ハンドルやアクセル、ブレーキなどを自動で操作し、ドライバーが必要に応じて支援する「レベル2」での運行となっている。
初日の14日、市役所前で出発式を行った後、尾花市長や小峰社長ら関係者を乗せた第1便が和歌山駅前を出発した。運転席にはドライバーが座っているが、ハンドルには手を触れることなく、バスは自動で走行。センサーやカメラが信号や先行車両、障害物などを感知し、安全を確認しながら順調に進み、最後は左折して和歌山城公園駐車場に到着した。
尾花市長は「公共交通は今まで守りの時代だったが、自動運転を大きな切り札として、攻めの姿勢に転じられる。市民の外出の機会を増やし、観光客にも多く乗ってもらいたい」と期待を示した。
実証運行は18日まで。運行ダイヤは日によって異なり、運賃は無料。乗車人数は1回の運行につき事前予約制の座席が10人、当日乗車可能な立ち席が10人程度まで。予約は市ホームページから。すでに予約は満席の便もある。
市は、来年度には期間を長くして再度実証運行を実施し、時間帯や曜日、天候による利用状況の違いなども含む詳細なデータの取得、デジタルマップの精度向上などを図る計画。25年度には特定条件化でシステムが自動運転を行うレベル4での運行実現を目指している。