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友好40周年記念訪中 県と山東省の交流強化

公開日 2024.07.25

【済南=わかやま新報】県と中国・山東省の友好提携40周年を記念し、岸本周平知事をはじめとする官民の訪問団が21日夜から、省都・済南市を訪れている。県議会や民間団体と共に記念会談や祝賀会などの公式行事に出席するのをはじめ、地方間、民間の交流の促進、強化を図る。岸本知事は22日午前、かつて客員教授を務めた山東大学を再訪し、記念講義を行った。

【写真】山東大学で記念講義を行う岸本知事

県と山東省は仮谷志良知事時代の1984年4月18日、同省からの訪問団6人を和歌山に迎え、県庁正庁で友好提携を締結した。2007年11月には両県省の友好交流関係の発展に関する覚書、09年12月には県商工観光労働部と省旅遊局の友好協力覚書にも調印。地方政府間の交流に加え、多くの民間団体や企業も参加し、文化、経済、教育など多分野で交流を進めてきた。

今回の山東省訪問団は、岸本知事や鈴木太雄県議会議長、日中友好県議連盟(井出益弘会長)、県日中友好協会(中拓哉会長)など約30人。岸本知事の同省訪問は就任後初めてで、知事の公式訪問としては、仁坂吉伸前知事が友好提携35周年の19年に訪問して以来、5年ぶりとなった。

山東大学は、1901年に中国で2校目の国立大学として設立され、2001年には国内主要第一級大学21校の一つに選ばれた。30の学部・大学院があり、学生数は約9万人。和歌山大学と学術交流があり、研究成果を日中両国で出版したこともある。

岸本知事は財務省国庫課長を務めていた02年10月、山東大学を訪問し、経済学部の教員と学生のために国際金融に関する学術報告を行っており、発表に先立って同学部客員教授の任命証を受けた。今回は和歌山大の本山貢学長と共に訪問となった。

22年ぶりの懐かしい教壇での記念講義。岸本知事は、1994年に世界のGDPの18%を占めた日本経済が23年には4%まで衰えている要因を、財政政策、金融政策の両面から解説。若い学生たちに、日本の失敗に学んだ上で、少子高齢化など日本と同じ課題を抱える中国での対策に生かすことを要望した。さらに、唐に留学した空海など、中国とゆかりの深い和歌山の魅力を紹介し、来訪を呼びかけた。

講演後は学内の博物館などを見学し、李術才学長を表敬訪問。李学長は、今回の訪問を機に、和歌山との学術交流などのさらなる発展に期待を寄せた。

22日午後、岸本知事は山東省最大のメディア、大衆日報社のインタビューを受け、県議団は、中国とのゆかりが深い和歌山の名所や歴史を紹介する番組を制作した山東テレビを訪問し、県日中友好協会は省人民対外友好協会などと交流。夜には省トップである林武・省共産党委員会書記と岸本知事の記念会談、記念祝賀会が行われた。
(須磨伸一)


【山東省】中国の沿岸部、黄河の下流域に位置し、面積は15・8万平方㌔㍍(日本の約40%)。23年の統計で、人口は約1億160万人(国内2位)、GDPは9兆2069億元(同3位)と、いずれも国内屈指の規模を誇る。儒教の祖・孔子をはじめ、孫子の兵法の孫武、三国志の英雄・諸葛孔明、書聖とたたえられる王羲之ら著名な人物を多数輩出。始皇帝の命を受けて日本に渡り、和歌山の新宮で没したとの伝説が残る徐福の出発の地、日本でも知名度が高い青島ビールの産地でもある。