美しさを魂の限り撮影 加茂さん写真短歌集出版
和歌山市出身の加茂清次さん(80)=大阪府和泉市=が写真短歌集『四季讃々Ⅲ』を出版した。加茂さんが紀北や大阪南部、奈良南部など畿内方面を訪れ、四季折々にみせる美しい日本風景や、鳥や虫が健気に生きる姿を写した約170枚に、情感豊かな短歌を添えた。加茂さんは「自然は天からの贈り物。それがみせる美しさを魂の限り撮影し、いろいろな思いを短歌にのせた」と話している。
【写真】出版された写真短歌集『四季讃々Ⅲ』
加茂さんは紀之川中学校、和歌山工業高校を卒業し、府立大阪高等技術研修所を修了。その後、ミノルタ㈱(現コニカミノルタ)に入社し、一眼レフカメラの設計業務に従事。途中に趣味として写真撮影を始めた。2002年に退職し、その後は大阪府知事賞や各種フォトコンで受賞を重ね、07年ごろから始めた短歌活動でも多くの賞を受ける。
2013年以降、東京や大阪の富士フイルムフォトサロン、オリンパスギャラリーなどで写真と短歌のコラボ作品の個展を開く。その他にも、日本美術評論家大賞や、国美展でボザール賞、日仏芸術家栄誉金賞を受賞するなど輝かしい経歴を持つ。
写真短歌集は春夏秋冬の季節ごとで区切っており、春に、紀の川平野を望む最初ヶ峰の展望台から撮影した夜桜の写真に「夕映えの 紀ノ川平野 見下ろして 散り行く花の 春の夜惜しまむ」、秋には、一般道路から見ることができず、大雨の日にしか現れないという橋本市玉川峡で撮った秘境の滝に「この山峡まだ見ぬ景色あるやもと 今年も辿る紅葉求め」などと、撮影した写真に当時の心情を詠んだ短歌を添えた作品を掲載。
加茂さんは「写真短歌集を見た人から『今までこんな感動的な写真集を見たことがない。びっくりです』『作者の人柄や優しさが伝わってくる』などと大きな反響があって、日本でも類例のないユニークな写真短歌集になっている」と話す。146ページ、定価2700円。発行は東京図書出版で、紀伊國屋書店ウェブサイトや楽天ブックスなどで販売中。
記事元:わかやま新報
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