和歌山市の洋画家・小川英夫さん「米寿展」

「これからも描き続けたい」と小川さん

和歌山市の洋画家・小川英夫さん(88)の米寿展が18日まで、同市の県民文化会館で開かれている。60年以上にわたって絵筆をとり、色彩あふれる世界を表現する小川さんは「描くことは、生きる力そのもの。鈍足ながらも六十余年、描きためた作品を皆さんに見ていただければ」と話している。

小川さんは、和歌山の歴史ある画家集団「青甲会」代表で、洋画グループUの会、コスモスの会で講師を担当。県展や和歌山市展の審査員を務める。

絵画はごく身近な存在だった。漆の塗師で、日本画が好きだった父親に連れられて、小さい頃から毎年のように京都市美術館の文展(現・日展)へ足を運んでいた。

洋画の生み出す立体感に強く引かれたが、戦況の悪化で「お国のためにならない」と絵を描くことも許されなくなり、学徒動員で軍需工場に動員され、17歳で工兵隊に招集。しかし2カ月あまりで終戦を迎え、一度は諦めた美術の道へ進むことに。

京都市立美術専門学校(現京都市立芸術大学)西洋画科を卒業。その後教職に就き、公立中学校や市立和歌山商業高校(現市立和歌山高)商業デザイン科で美術を指導した。

15歳の頃に出合った絵に大きな衝撃を受けた。それは杉本健吉の油彩画「博物館中央」で「ひんやりとした空気や、静けさの中、足音までもが聞こえてきそうで。油絵はこんなものまで表現できるのかとびっくりしました」。

自身も、その場所の空気が伝わるような絵を描きたいと筆を重ね、退職後も精力的に制作。海外はこれまで21カ国を旅した。

今展では安曇野の雪景色や粉河寺の中門など38点を展示。
国外の風景も多く、スイスやドイツのまちを行く馬車、ベネチアの広場で陽気な音楽を奏でる音楽家など、光に包まれた色彩豊かな作品が並ぶ。

特に思い出深いのは、1995年作の「ベネチアの水路」。キャサリン・ヘップバーンの映画『旅情』を見て以来憧れていた場所で、狭い水辺を行くゴンドラを穏やかに描いている。

小川さんは「最近は写実的な絵が少なくなったように思います。若い方でも、写実的に表現する方がもっと増えてほしいですね」と話している。

午前10時から午後5時(最終日は4時)まで。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。