スイーツ文化広げる 齋藤さん和市に出店
京都や大阪の名店、人気店で腕を磨いてきた新宮市出身のシェフ、齋藤潤一郎さん(41)が、念願の洋菓子店「パティスリー ラ ジュー」を和歌山市小松原にオープンした。店名はフランス語で「ほっぺ」の意味で、まさに、ほっぺが落ちそうな優しい味わいのケーキが出迎えてくれる。全国と比べてケーキの消費量が少ないとの統計がある和歌山で、スイーツ文化を広げたいと願っている。
齋藤さんは新宮市の隣、三重県鵜殿村(現・紀宝町)で生まれ、新宮市で育った。地元で会社勤めをした後、27歳で神戸市の洋菓子専門学校へ。京都の名店「パティスリー・ナチュール・シロモト」で4年間の修行を経て、「堂島ロール」で知られる「モンシェール」で勤務。大阪でエリアシェフを務めた他、札幌や博多でもシェフとして計9年間腕を振るってきた。
当初から独立への思いは強く、和歌山で店を構えたいと考えていた。
国道42号沿いにオープンした店のショーケースには、メープルロールやピスタチオのムース、イチゴをたっぷり使ったケーキなど、十数種類がずらり。齋藤さん一人で製造し、元パティシエの妻・優子さん(37)が販売。先月末にオープンしたばかりだが、午後の早い時間帯に売り切れてしまうほどで、早くも話題を集めている。
心掛けているのは鮮度を大切にしたケーキづくり。「おすし屋のようなケーキ屋に」――。修行した京都の店でオーナーシェフがよく口にしていた言葉は常に胸にあり、店ではその日に焼き上がった作りたてのケーキが店頭に並ぶ。乳脂肪分の高い濃厚な牛乳を使ったカスタードクリームやプリンが自慢で、特にあっさりと食べやすい生クリームは「和歌山には他にない」と自信をのぞかせる。
和歌山のスイーツ文化を広げようと新たな挑戦を始めた齋藤さん。「特別な日だけのものではなく、もっと気軽にケーキを食べてもらいたい」と、今後はパンやタルト、地元の季節の果物を使ったケーキも考案していきたいという。
「見ているだけで頬が緩み、おいしいケーキでほっこりとした気持ちになってほしい」との思いが込められた同店。齋藤さんは「お客さんが求めているもの、要望に添った商品を開発し、一緒に店をつくっていけたら。次に来た時には新しい商品があるような、常に変化している店でありたいですね」と話している。
午前10時から午後7時まで(なくなり次第終了)。月曜定休。問い合わせは同店(℡073・499・7585)。
記事元:わかやま新報
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