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白浜パンダ全頭返還 名付け親2人が思い語る

公開日 2025.06.27
名付け親に送られるカードを手に彩浜との思い出を語る宮田さん

白浜町「アドベンチャーワールド」のジャイアントパンダ4頭が28日、中国へ全頭返還される。その知らせを受けて以来、連日多くの人が施設を訪れているが、過去に名付け親になった女性2人がパンダへの思いを語った。

【写真】「心にぽっかり穴が空いたよう」という石井さん。パンダ愛は人一倍強い

日中友好を願う海南市の石井さん

海南市の石井良重さん(46)は、2014年12月に生まれた双子の「桜浜(おうひん)・桃浜(とうひん)」の名付け親の一人。全国から1万722通の応募があった。子どもの頃からパンダが大好きという石井さんは、同施設では初めての雌の双子が誕生したことを知り「女の子だから花の名前を付けたい。日本は桜、中国は桃の花が大切にされているので、日中友好の願いを込めました」と振り返る。

名付け親の特権としてバックヤードで間近に「桜浜・桃浜」を見せてもらった時は「わが子だと思った。寝ていた桃浜が起きて寄ってきてくれた時は本当にかわいかった」と目を細める。

23年に2頭が返還されるまで、ほぼ毎年会いに行き、返還後もパンダファミリーに会うために通っている。

白浜にパンダがいなくなることについて「心にぽっかり穴が空いたよう。でも私たち人間は悲しんでいますが、パンダは何も知らずに中国へ行く。パンダの気持ちは分からないけれど成都でも健康で幸せに暮らしてほしい。特に良浜は高齢なので新生活に慣れてくれるのを祈るばかり」と心配顔。今後については「和歌山のパンダファンにとって癒やしというだけではなく、世界に誇れる存在でした。何年後か彼らの血筋から野生復帰できる強いパンダが現れるのを願っています」と思いを込めた。

観光への影響心配和歌山市の宮田さん

和歌山市の宮田磨里さん(53)は、2018年8月に誕生した雌の彩浜(さいひん)の命名者の一人。以前に知り合いがパンダの名付け親となり、優待されていたことがきっかけで「自分も応募してみよう」と軽い気持ちで応募したところ、採用となった。

長女の名前にも「彩」という漢字を使おうとしたほど、この字が好きで、採用されたことを知って長女と2人で大喜びした。彩浜の公募の時は過去最多となる12万2421通の応募があり、4候補に絞られた後に投票で決められた。

施設から証明書となるカードが送られ、長女と初めて彩浜に出会った時は、木登りも上手にできていなかったといい、思わず「ママやで。頑張って」と声を掛けた。

以後、何度か訪れるたびに成長している姿を見て安心した。彩浜は同施設で生まれたパンダの中では、75㌘という一番小さい体だったので、喜びもひとしおだった。

現在まだ白浜にいる彩浜だが、宮田さんは最終日に会いに行くことはできず「返還された後も、どうしているのか、元気にしているのか報道で知りたい」と気をもんでいる。返還については「和歌山にとっては大きな存在だった。観光業への影響が心配」としながらも「アドベンチャーワールド自体はパンダがいなくてもすごく楽しいところなので、今後も遊びに行きます」と笑顔で話している。