HOME 和歌山ニュース 華道の岸さんら3人に栄誉 海南市文化表彰

和歌山県海南市の2025年文化表彰受賞者が決まり、文化功労賞に岸登子(たかこ)さん(93)=華道=、山田健二さん(92)=漆芸=、文化奨励賞に佐光朗(さこう・あきら)さん=映像=が選ばれた。1日に市役所で表彰式があった。

【写真】岸さん、神出市長、山田さん(左から)

同表彰は同市の文化向上、発展に功績のある個人や団体に贈られる。1979年から行われ文化賞、文化奨励賞、文化功労賞の3部門がある。

岸さんは1945年ごろ両親の勧めで華道を始め、嵯峨御流に入門。植物本来の美しさを最大限に生かしながら自然を映し取ることを信念とし、100人を超える生徒を指導。98年には南インド・オーロヴィルでの国際交流会に参加するなど、生け花を通じて日本文化を海外に発信。JR海南駅の待ち合い所の生け花展示スペース設置に尽力するなどし、海南文化協会で40年あまり副会長を務め、活動を支えてきた。

山田さんは徳島市生まれ。漆器蒔絵(まきえ)の美しさに魅せられ、海南市で修行。県展特選をはじめ、欧米各国の巡回展に選抜。

卵の殻を用いた技法で、漆では表現しがたい白色を巧みに表現。1965年の日展初入選以後、29回の入選を重ねている。スペインで講演や漆芸技術の指導を行う他、留学生を自身の工房に受け入れるなど、国際的な技術交流にも力を注いでいる。

佐光さんは1958年生まれ。県立大成高校を卒業後上京し、日活テレビ映画芸術学院に入学。その後、映像の世界、撮影監督の道へ。90年に独立して以降、多くの映画作品に携わり2025年、「キングダム 大将軍の帰還」で第48回日本アカデミー賞最優秀撮影賞に輝くなど受賞歴多数。迫力あるダイナミックな映像が特徴で、特に移動撮影では、カメラのぶれを最小限に抑える「ステディカム」をいち早く導入。単身渡米し、本場でカメラワークの技術を学んだ経験を生かし、被写体の魅力をより引き出す撮影技法を実現している。

表彰式で神出政巳市長が受賞者に表彰状を手渡した。神出市長は「今後とも健康にご留意され、本市文化の向上発展に一段のお力添えを賜りますようお願い申しあげます」とあいさつ。受賞者を代表して岸さんが感謝の言葉を述べた。

岸さんは「華は辛抱」と説き、一見簡単に生けられるようだが、思い描いたように生けるには、根気よく続け、ようやく小さなことが分かるようになるといい、「続けるということは辛抱と根性が必要でございます。80年も華道を続けてこられたのは、花が好き、人が好き、教えることが好きであったこと。先生方や生徒の皆さまのお力添えがあったからだと心より感謝しています」と話した。

佐光さんは代理者が出席した。