HOME 和歌山ニュース 「第九」歌い続けたい 新生合唱団の練習終盤

団員に話しかける澤さん

和歌山に再び「第九」の灯を――。2月に結成された和歌山「第九」合唱団(西岡敦子団長)の第1回となるベートーベン交響曲第9番の演奏会が12月27日に迫っている。公演を指揮する澤和樹さんを迎えての練習会が5日、和歌山市小人町のあいあいセンターで開かれ、約80人の団員たちが澤さんの指導で歌声に磨きをかけた。

【写真】練習に熱が入る団員ら

年末の和歌山では、1972年に結成された県第九合唱団が毎年、オーケストラと共に「第九」の歓喜の合唱を響かせてきたが、団員不足や観客数の減少などを理由に、昨年12月の公演を最後に解散。それでも、「歌い続けたい」との思いで元団員らが集い、新たに和歌山「第九」合唱団を立ち上げ、旧合唱団から途切れることなく、新生第1回の「第九」演奏会を実現させる。

澤さんは和歌山市出身のバイオリニスト、東京藝術大学前学長で、新合唱団からの相談を受け、公演の指揮を快諾。20年以上にわたり常任指揮者を務めるプロ・アマチュア混成のオーケストラ「千里フィルハーモニア・大阪」を率い、ソリストには日本の若手を代表する歌手たちを迎えての共演が決まった。

練習会では、合唱の要所を一通り聴いた澤さんが、「全体的に素晴らしい」と団員らに語りかけ、歌詞の発音や音程のとり方、管弦楽との調和を見据えた表現など、細部を指導。団員たちも熱のこもった歌声で応え、練習終盤に澤さんは「素晴らしい演奏会になるのは間違いない」と話し、多くの人に会場に足を運んでもらえるよう、団員たちに呼びかけた。

「第九」に込められたベートーベンのメッセージについては、特に「自由への叫び」が強くあることを伝え、社会が分断され、言いたいことが言いにくい現代社会にあって、「今こそベートーベンの本来のメッセージを皆で共有するべきだ」と語った。

西岡団長は「第九は何度歌っても極めることができない素晴らしい作品。昨年は本当に最後の演奏会になるのかと思っていた。復活させることができ、本当に良かった」と話し、演奏会への来場を呼びかけている。

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演奏会は27日午後2時から、県民文化会館大ホールで。プログラムは、第九の他、海南市出身のフルート奏者・岡本万貴さんがソロを務めるモーツァルトのフルート協奏曲第1番となっている。

チケットは指定席5000円、自由席4000円、大学生以下2000円。申し込み、問い合わせは和歌山「第九」合唱団(℡080・2065・2707)。指定席は同館、和歌山城ホールでも取り扱っている。