復元の旧議事堂で県議会 78年ぶり往時再現
県議会6月定例会が2日に開会し、初日は移築復元整備された「旧県会議事堂」(通称・一乗閣、岩出市根来)で本会議が開かれた。県庁の現議場ができてから、本会議を他の場所で開いたのは初めて。明治31年から40年間使用された旧議事堂で、当時の本会議の光景が78年ぶりに再現された。
地元岩出市の中芝正幸市長や、市議、市民らも大勢傍聴に訪れた。
会議は冒頭、熊本地震の被災地に向けて黙とう。仁坂吉伸知事は旧議事堂での本会議に、「誠に光栄で身が引き締まる思い。あらためて県政の先輩諸氏に敬意を表し、県議会と車の両輪となって県政発展にまい進する」と所信表明した。和歌山市への東京医療保健大学の「和歌山看護学部(仮称)」設置、統計局の県内移転に関する実証実験など、県政の動きを報告し、補正予算案や条例案件について説明した。
本会議を終え、前芝正嗣議長は「ここで先人たちが県政発展のために議論を戦わせたのだなあと思いながら、その場に議長として座らせていただいたと思うと感慨深いものがある」。仁坂知事は「先人のご苦労がここに凝縮されており、大変光栄なこと。他県ではあまりない、民主主義100年余の歴史を凝縮したような施設を和歌山県が持っていることは県の誇りであり、県内外から多くの方々に見に来ていただきたい」と話した。
旧県会議事堂は明治31年、和歌山市一番丁に新築され、現議場が完成した昭和13年まで40年間使用された。同16年に同市美園町に移築、同37年には根来寺に再移築され、合宿施設などとして使用された。平成17年には、現存する和風の木造議事堂では最も古い貴重なものとして県指定文化財となった。ことし4月、現在の場所に当時の姿で復元整備され、一般公開されている。
6月定例会の会期は21日までの20日間。一般質問は10日と13~15日の計4日間。
記事元:わかやま新報
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