県中小企業家同友会は、障害者を雇用する企業を増やすことを目的に、関わり方やサポートなどについて学ぶ「障がい者雇用創造部会」を立ち上げ、14日、和歌山市手平の和歌山ビッグ愛で記念例会を開いた。関西地区の同友会会員や社会福祉法人関係者など約80人が参加した。
京都から参加した㈲思風都の土井善子さんはあいさつで、同友会の人間尊重の理念を確認し、全国の中小企業4万5000社が会員であることにふれ、「1社が障害者を1人雇用したら社会は変わる」と呼び掛けた。
同部会長に就任した同友会有田支部会員で社会福祉法人千翔会理事長代行の髙垣千恵さん(57)は、運営する福祉施設で行っている障害者雇用の経緯や現状、自らの人生について報告した。
髙垣さんは山口県下関市出身。人生で最初の苦難が訪れたのは小学校5年生の春。小学校入学を控えた弟が髙垣さんの目の前でダンプカーにひかれて亡くなった。その経験から看護師となった髙垣さんは26歳で結婚。1年後に授かった長男は、生涯介護を必要とする重度の障害がある状態で誕生した。34歳の時には2歳の次女が原因不明の急死。40歳で離婚を経験し、苦難の連続だった。
その後、ケアマネジャーの資格取得や再婚などを経て、ヘルパー派遣や介護タクシー事業を手掛ける㈱たかがきサービスステーションを設立し、障害児の学童保育所などを開設。知的障害のある女性を学童保育の補助員として雇用したことでスタッフ間には問題が起こったが、粘り強く向き合い、解決してきた。
同友会に入会して2年。障害者雇用の推進に向け会員の協力を呼び掛ける髙垣さんは、「障害者雇用を一人でも多くの会員が実現するため、部会長として、皆さんと一緒に困難を背負って歩いていきたい」と話した。
報告に続き、グループ討論があり、参加者は「あなたにとって困難を乗り越える時のキーワードは何ですか?」のテーマで話し合い、結果を発表しあった。