世界トップクラスの日本野球を学ぼうと、アフリカ東部・ウガンダの青年が和歌山大学野球部に短期留学している。同大野球部で学生コーチを務める教育学部4回生の土井拓哉さん(23)がクラウドファンディングを通じて約3カ月で97万8000円の留学費用を集め、夢の実現にこぎ着けた。
土井さんは青年海外協力隊のボランティアとして昨年9月からことし3月まで、ウガンダの選手たちに野球を指導した。同国は野球人口が少なく、野球に取り組む姿勢にまだまだ甘さが見られたことなどから、選手に来日してもらい、日本の野球文化に実際にふれてもらうことを決意。懸命の活動が実り、同国を代表する好投手のカトー選手(19)を同大野球部に招くことができた。
カトー選手は左利きで、173㌢、60㌔。スピンの効いた直球に加え、カーブやフォークの変化球を持つ。一番自信があるのは直球だが、指の長さを生かしたフォークも大きな武器。少年時代はラグビーに親しみ、野球を始めたのは約4年前と経験は浅いが、高い野球センスを発揮し、同国一の投手に成長した。
8月末に来日し、同大野球部の練習に合流。現在は投球時に腰が横回転する癖を修正しようと、ネットスローでフォーム固めに取り組んでいる。負けず嫌いの性格を発揮し、筋力トレーニングや走り込みなどの地道な練習にも熱心に挑戦。その姿勢には「エンジンがかかるとすごい」と土井さんも感心している。
技術面の課題は球速と制球力。打撃投手や紅白戦での登板を通じて、球持ちが良く、やや変則的なフォームを大切にしながら、制球に優れた、試合をつくれる投手への成長を目指す。11月には独立リーグの入団テストを受ける予定。
土井さんは「独立リーグ入りに向けて技術の向上を図るのはもちろん、道具を大切にし、味方がエラーをしても態度を変えないといった日本の野球文化も学んでほしい」と話しており、カトー選手は「この充実した環境で野球を頑張り、大きく成長したい」と夢の実現に熱く燃えている。