平成28年に県内を訪れた観光客の総数が3487万人となり、2年連続で史上最高を更新したことが県の観光客動態調査(速報値)で分かった。大型宿泊施設がリニューアル工事で休館した影響を受け、宿泊客数は前年比7・7%減となったが、日帰り客が同6・9%増となり、宿泊客の減少をカバーした。外国人宿泊客数も17・0%増となり、史上初めて50万人を突破するなど順調に増加しており、仁坂吉伸知事は「さらに情報発信や便利な環境づくりを進めていく」と話している。
県内への観光客数は24年の2916万人から増加が続いており、28年は前年比147万人増。宿泊客数はここ数年横ばいの傾向が続いているが、日帰り客数は26年の2564万人以降急増しており、28年は2962万人となっている。
県観光振興課は、メディアを活用した県内観光地の魅力発信を通じて県の認知度が向上したことに加え、「水の国、わかやま。」キャンペーン、大河ドラマ「真田丸」にスポットを当てた「戦国わかやま誘客キャンペーン」の実施などが効果的だったのではないかと分析している。
宿泊客数減少の要因とされる宿泊施設の休館について、仁坂知事は「県を挙げて宿泊施設の耐震化を進めている。いずれ国内で最も安全な観光地になるだろうと思っている」と述べた。
主要観光地の状況は、和歌山市649万1599人(前年比1・0%増)▽高野町176万925人(同11・6%減)▽田辺市龍神村69万1757人(同9・0%減)▽同市本宮町149万9684人(同0・9%増)▽旧白浜町332万3393人(同3・5%減)▽那智勝浦町138万9921人(同0・1%増)▽旧串本町129万8346人(同0・6%減)――となっている。
外国人宿泊者数は前年比17・0%増の50万191人泊。宿泊者の国・地域別シェアは中国28・1%、香港20・7%、台湾14・1%、韓国5・0%の順となっている。欧米豪のシェアは21・5%だった。個人旅行が増加する中、香港と台湾のシェアが低下した一方で、継続的なプロモーションにより中国は前年比5・1増の28・1%と大きく増加した。
市町村別では、和歌山市が45・7%増の15万6498人、田辺市が43・8%増の3万958人を記録するなど、大きな伸びをみせている。
県観光交流課は、CNNなどの世界的メディアとの共同キャンペーンの実施や年45回に上る海外プロモーション、LCC航空路線の拡大などが増加の要因とみている。