足の悩み手作りインソールで解消 まつや

客の足形を取る加藤さん

JR和歌山駅から伸びるけやき大通り沿いにある「靴のまつや フロイデ」(和歌山県和歌山市友田町)がオーダーメードで制作する靴のインソール(中敷)が、足に悩みを抱える人たちの人気を集めている。代表取締役の加藤正祐さん(63)は「『老化は足元から』といわれている。人生100年の時代、地域の皆さんが健康に楽しく歩けるようお手伝いしたい」と話す。
13年ほど前に靴文化の本場、ドイツの靴を取り扱ったのがきっかけで、中に敷くインソールに興味を持った。ドイツでは幼い頃から靴の選び方や履き方を教え、自分の足に合った靴を履くことを大切にしている。
これまで多くの客と接する中で、加藤さんは外反母趾や偏平足、巻き爪など足のトラブルに悩まされる人たちをたくさん見てきた。「建物でも土台が一番大事。目立たない部分だが、自分の状態に合ったインソールを敷くことで、足の悩みが解消される」と考えた。
足全体を支える「足のアーチ」と呼ばれる土踏まずなどは、歩行の際の衝撃を吸収するバネの役目がある。特に大切なのがかかと。歩行を安定させるためには「かかとをインソールで正常な位置に置くことが大切」という。
昨年8月、足形を取るフランス製の最新機器を導入した。機械に足を置くと内部のシリコンにくぼみができ、足長や幅、高さなど足の形を正確に測ることができる。足形を基にインソールを手作業で削るなどして加工し、コルクや硬質スポンジなどで必要な部分を補う。価格は1万5000円(税別)。1時間ほどで「世界に一足」のインソールが完成する。
足底筋膜炎を患う30歳代の男性は、フルマラソンを走った後に必ず出る足の痛みに悩まされていた。同店で作ったインソールを靴に入れて走ったところ、自己記録が伸び、ゴール後に痛みを感じなくなったという。足の神経障害「モートン病」の60歳代の女性は、痛みのある部分のインソールを削ってもらったところ、痛みが軽減し「普通に歩けるようになった」と喜んでくれた。販売を始めて約半年。加藤さんは手応えを感じている。
和歌浦で始まった創業80年の老舗。先代は下駄や草履を売り、地域の人に喜ばれた。時代は変わり、大型量販店との競合で小売り店は厳しい状況が続く。インターネット社会になり、消費者の行動も変わりつつある。だが、「足で困っている方のニーズは、ある」と力を込める。「わざわざ足を運んでもらわないとできないことをやっている。こんな時代だからこそ、靴屋として社会に貢献したい」。店には、これまで取った約1万4000人分の客の足形の記録が大事に保管してある。時代の動きを見据えつつ、思いを込めて靴を売っている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。