県調査で原木の可能性 紀美野で高校生が発見

大きな実をつけたブドウハゼと和ろうそくを手にりら高校の生徒ら

和歌山県紀美野町松瀬地区の山中でりら創造芸術高校の生徒が発見し、ブドウハゼの原木とみられていた木について、県は「約80~90年が経過している」との樹齢調査の結果を発表。これにより、発見された木が、1934年に県の天然記念物「葡萄櫨ノ原木」として指定され、その後枯死したとされていた木と同一である可能性が高まり、保全に向けた取り組みの機運が高まっている。
調査は、県林業試験場が実施した。木の2カ所から年輪が刻まれた木片(コア)を採取したところ、樹皮側約5㌢でコアが得られたが、その中は腐って傷んでいるか空洞の可能性が高いと判断。得られたコアの年輪の数から、成長した約5㌢の部分は約80~90年が経過していると考えられ、「葡萄櫨ノ原木」の樹勢の衰えが記されていた『県史蹟名勝天然記念物調査会報告第13輯』(1934年発行)の内容とも合うことが分かった。
同報告によると、原木は同地区の山林に鳥類が運んできた種から発芽したものと考えられ、一般のハゼの木と比べて実が大きいことからブドウハゼと命名された。木から採取される油が良質で、和ロウソクの原料として高値で取引されたため、1885年ごろから種や苗木が全国から望まれるようになるに従い、原木の生育は阻害され、「樹勢不良ニシテ梢枯著シキヲ見ル」状態となっていた。
1958年には新条例に基づく申請がなされず、天然記念物の登録から自然消滅。その後の記録では、85年発行の『野上町誌下巻』に「現在枯死してその跡形もない」と記述されていた。
発見された木が「葡萄櫨ノ原木」であれば、樹齢172年を超える日本最古のブドウハゼということになる。
枯死したと思われていた原木の発見は、同町真国宮のりら創造芸術高校生徒の調査によるもの。2017年9月、地域の特性を学ぶ「地域デザイン」の授業の一環でフィールドワークを行った際、80代の高齢男性がハゼの木に登って実を収穫しているのに注目したことがきっかけ。研究を進める中で、1955年ごろから松瀬地区で暮らす高齢女性に出会い、原木とみられる木の存在を知った。県による樹齢調査は、生徒の依頼で行われた。
歴史ある地域資源の再発見につながった研究の今後について、2年生の三木明音さん(16)と横田沙羽子さん(16)は「報告書の掲載写真に写っている、ブドウハゼの背後の山の尾根が、現在の景色と一致するかどうかなど、さらに調査を進め、地域の方とも協力して原木を守っていきたい」と話している。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。