県内初の手話対応老人ホーム 11月に開所

「きのくにの手」完成イメージ(和歌山県聴覚障害者協会提供)

聴覚に障害があるろうあ者向けの老人ホームが11月、和歌山県和歌山市加納にオープンする。手話でコミュニケーションを図れる環境が整った老人ホームは全国でも約10カ所しかなく、県内では初めて。運営に当たる県聴覚障害者協会の福田美枝子会長は「手話でコミュニケーションを図れる環境を整備することで、高齢のろうあ者が安心して生活できるようになる」と話している。
同協会によると、一般の老人ホームは手話ができる職員が少なく、ろうあ者は「一人でぽつんと過ごし、苦悩を抱えてしまう」ケースが多いという。手話の環境が整ったろうあ者向けの老人ホームは近畿では京都・大阪・兵庫・奈良の4府県にある。
オープンする老人ホームの名称は「きのくにの手」。2階建てで敷地面積は1404平方㍍、定員は26人となる。職員の約半数をろうあ者とする予定で、手話で会話ができるカメラ付き電話、音やアナウンスの代わりに光や振動で連絡を伝える機器などを設置し、ろうあ者が過ごしやすい環境を整備する。用地は1人の篤志家からの寄付や協会による購入で確保した。
運営費については借入金でまかなう予定だが、福田会長によると、高齢のろうあ者の中には厚生年金のない会社で働いていた人も多いといい、「借入金が多くなれば、利用料を高くせざるをえず、経済的負担の重さから入居を諦める人が出てくる恐れもある」と懸念する。
同協会は2015年8月から地域の手話サークルやろう学校などの関係者と共に3億円を目標として募金活動を実施。ことし2月末現在で9300万円が集まった。3月には市内の県民文化会館で国内外の有名画家の作品を集めたチャリティー絵画展を開催。約1000人が来場し、ろうあ者の現状に理解を深めてもらう機会となった。
福田会長は「和歌山で老後を過ごしたいと思いながら、ろうあ者用の老人ホームがないため他府県に行かなければいけない人もいる。ぜひ募金に協力してほしい」と呼び掛けている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。