和歌祭13日に開催 神輿おろしや渡御行列

金の鬼面が完成し、練習を重ねる雑賀踊のメンバー

江戸時代から受け継がれる紀州東照宮(和歌山県和歌山市和歌浦西、西川秀紀宮司)の大祭「和歌祭」。13日の開催を目前に、境内では準備が進められ、渡御行列の出演者の練習も大詰めを迎えている。午前11時15分から神輿(みこし)おろしがあり、約1000人による渡御行列は正午に紀州東照宮を出発する。
金の鬼面で、いざ! 雑賀踊は手作り面
演目の一つ「雑賀踊」で演技をする「忠棒」と「請棒」10人が、ことしも手作りの鬼面を着けて登場する。先頭を飾る金色の鬼面がこのほど完成し、これまでの古い面に変わって初披露される。
使用する面の破損が激しかったことから、10年ほど前からメンバーが同市の能面師・久保博山さんに指導を仰ぎ、面を制作。自身や仲間が手作りすることで祭りへの思いや愛着も一層深いものになっているという。教室が休みの期間を挟みながら、金の鬼面は完成までに約4年の歳月を要した。
4月29日に東照宮会館前で行われた練習には、「請棒」の演者ら5人が参加。使用する、炎を模した1㍍ほどの棒には、みこしの通り道をはき清める意味合いもあるとされ、メンバーは太鼓の音に合わせて、ゆっくりとした力強い動きを確認した。
鬼面の制作メンバーで、演者でもある川西孝秀さん(39)は「自分たちが作った面で出る演目は他になく、誇りを持って務めたい。観客の皆さんが引き込まれるような迫力のある踊りを披露したい」。鬼面を作り、メンバーを率いる金井修治さん(50)は「金の鬼面の完成は悲願だった。みんなには新しい面で一層頑張って踊ってもらえれば」と話している。
ことしは投げ技も 高度な技芸の薙刀振
数ある演目の中でも、特に高い技芸が必要とされる薙刀振(なぎなたふり)は、年間を通じて毎週1度の練習を重ねてきた。ことしの出演者は高校生や大学生ら13人と、昨年よりやや少ないものの、小学生1人も新たに加わった。
練習を見守る畑中生好(たかよし)さん(79)は祖父も薙刀振の指導者で、和歌祭が再興された1948年から祭りに関わってきた。
薙刀振は薙刀をバトンのように回転させながら、背の後ろや足の下を通したり、頭上で回転させたりと48の技がある。畑中さんは「他の演目とは少し違い、技術が必要とされる。単なるパフォーマンスではなく、長年の経験の中で自分のものにしていってもらいたい」と指導にあたる。
新メンバーの和歌浦小学校5年生の上本愛さんは「難しい技もあるけど、くるくる回すのが楽しい」とにっこり。畑中さんは「子どもが少なくなっている中で、仲間に加わってくれるのはうれしいこと」と歓迎し、「覚えがとても早いんですよ」と太鼓判を押す。
ことしは新たに、空中に薙刀を放ち、別の演者が受け取って演技につなげるという難度の高い「薙刀投げ」に挑戦する。畑中さんによると、1935年に撮られた和歌祭の映像にその様子が残されているという。これまで安全面への配慮から披露することはなかったが、刃先を木に変えた薙刀を用意し、練習を重ねてきた。
畑中さんが「私の後継人」と認めるベテランの石橋秀昭さん(32)は「いつもは技を美しく見せるのを目標にしていますが、ことしは少し派手に元気よく。皆さんに一層楽しんでもらえると思います」と意気込む。
ともに小学生の頃から続ける星林高校1年生の玉置日菜さん(15)は「見る人に、かっこいいと思ってもらえるよう精いっぱい頑張りたい」、海南高校1年生の橋本星来(せら)さん(15)は「演技を見て『やってみたい』と思う人が一人でも増えればうれしい」と練習に励んでいる。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。