やさしいたわしに大賞 コーゾーのシュロ事業

大賞の賞状とボディーブラシを手に髙田社長㊧と大輔専務

紀州産のシュロを使った㈱コーゾー(和歌山県海南市椋木、髙田英生社長)の高級ボディーブラシが話題となっている。地域の将来を支える商品とその市場開拓を支援する民間企業による表彰制度「ふるさと名品オブ・ザ・イヤー」で、全国各地の名品がノミネートされる中、2017年度地方創生大賞に輝いた。受賞の喜びやものづくりへの思いを髙田大輔専務取締役(37)に聞いた。
受賞した高級ボディーブラシは「髙田耕造商店紀州産からだ用棕櫚(しゅろ)たわし檜柄(ひのきえ)」。家庭用品産業で栄えてきた海南市は、かつてシュロを原料とするたわしやほうきなどの生産が盛んだったが、戦後、パームヤシや化学繊維で作られた製品が全国で流通するようになり、シュロ製品は激減した。同社は、シュロの山の再生、管理に取り組み、地域の自然保護にも尽力しながら伝統の産業を継承、発展させている取り組みを含めて高く評価された。
髙田専務によると、現在は有田川町清水の西脇直次さん(68)が、近隣の農家の協力を得ながらシュロの栽培と採取を行い、製品には特に上質な繊維のみを使っているという。硬いパームヤシなどと異なり、シュロの繊維はしなやかで、こすり洗いをしても肌や生地を傷めることがない「やさしい」使い心地。著名な能楽師が足袋洗いに愛用している例もあるという。
シュロは繊維が採取できるようになるまで10年以上の年月がかかり、西脇さんから「次世代のシュロを確保するためには今、われわれが苗を植えなければいけない」との話を聞いた。それまでは売り上げや販路の拡大に力を注いできた髙田専務だったが「次世代を視野に入れた山の保全を、改めて深く考えるきっかけになった」と話す。
同社には「やさしいたわし」のシリーズ商品が多数あり、髙田専務は、次世代の子どもたちにシュロ製品の良さを感じてもらいたいと願っている。
例えば「ズックにやさしいたわし」は子どもたちが室内履きを洗うのに使ってほしいという。子どもが自分の道具を自分の手で洗うような丁寧な暮らしを実践し、将来「小さい頃、シューズ洗いは面倒くさかったけど、あのたわし、汚れがよう落ちたわな~」などと、体験を懐かしむような会話が生まれることを夢見ている。
「自分でこすりたい、洗いたい、掃きたいと言って使ってくれるお客さんの言葉が一番うれしい」と髙田専務。「受賞をきっかけに、暮らしの文化も継承していく必要があることに気付かされ、感謝しています」と話していた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。