地震保険付帯率6割 業界が備え呼び掛け

「地震保険の保険金は、被災後の当面の生活費用になる」と新甚さん

最大震度6弱を観測した6月18日の大阪北部地震から1カ月。被災地では、避難所生活を余儀なくされている人が今も大勢いる。いつどこで地震が起きてもおかしくない状況の中、南海トラフ地震で甚大な被害が想定されている県では、火災保険とセットで契約する地震保険の付帯率が6割にとどまっている。日本損害保険協会和歌山損保会会長の新甚博史さん(49)=損保ジャパン日本興亜㈱和歌山支店長=は「南海トラフ地震は私たちが生きている間に起きる。楽観視せず、大阪の地震の記憶が薄れないうちに和歌山でも『災害時のリスク』について考えてほしい」と訴えている。
地震保険は政府と民間の損害保険会社の共同運営のため、どの会社で契約しても補償内容と保険料は同じ。同協会によると、東日本大震災では1兆2600億円、熊本地震は約3600億円、阪神淡路大震災では783億円の保険金が支払われた。
大阪北部地震では、損保ジャパン日本興亜だけで大阪・京都・兵庫の3県から7日までに計1万4204件の事故受け付けが寄せられた。「今回は津波がなかったが、それでもこれだけの件数があった。和歌山で同規模の地震が起きたらどうなるのか」と新甚さんは危機感を募らせている。
政府の地震調査委員会は、南海トラフ地震の発生を「今後30年で70~80%の確率」と推定。高知や徳島、愛知など太平洋沿岸部の多くの県では、地震保険付帯率が70~80%と高くなっているのに対し、和歌山県は61%。沿岸部の新宮や田辺では7割以上の付帯率となっているものの、和歌山(57・4%)や岩出(55・4%)、海南(55・6%)では低くなっている。
被災後の生活再建には、住宅の修理や建て替え、引っ越しなどさまざまな出費が必要になる。「預貯金の取り崩しや公的な支援金だけでは足りない。地震保険は当面の生活費として用途が制限されず、自由に使える」と新甚さん。特に深刻なのが住宅ローンの問題。被災地では多くの人が元の家と新しい家の二重ローンを払い続けており、家計を圧迫しているという。
過去の地震では「まさか自分が地震に遭うとは思わなかった」「保険に入っておいて良かった」などの声が多く寄せられ、新甚さんは「和歌山でももっと周知に努めなければ」との思いを強くした。
業界では、損害保険の高度な知識と経験を持つ保険募集人の最高資格「損害保険トータルコーディネーター」の育成に力を入れている。新甚さんは「意識の高い保険募集人がいれば、お客さまに納得していただける説明ができるはず。和歌山の全ての方に地震保険の必要性を知っていただきたい」と力を込めた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。