世代を超えて解決を 中学生研修リポート㊦

シュプレヒコールで腕を突き上げる中学生ら

北方領土が不法に占拠されてから73回目の夏を迎えた。退去を余儀なくされた元島民は高齢化が進み、平均年齢は83歳を超えた。故郷へ再び帰る夢を見ながら亡くなった元島民は半数以上に上り、一日も早い解決が望まれる。根室市ではことしも北方領土返還要求市民大会が開かれ、約700人が「北方領土を返せ」と声を上げた。

5日午前、元島民の河田隆志さんの講話を聴いた中学生らは、市内にある北海道立北方四島交流センター(ニ・ホ・ロ)横の特設会場で開かれた市民大会に参加した。

大会は、市や市北方領土返還要求推進協議会などで構成する実行委員会が主催。1984年に始まり、8月の返還要求運動強調月間に合わせて毎年開催している。会場には元島民や関係団体が集い、富山県からの中学生派遣団も参加した。

式典では先人の御霊に黙とうをささげ、大会長の長谷川俊輔市長は「返還を心から喜べる方が一人でも多くいるうちに結果を出さなければいけない」とあいさつ。さらに「何よりも重要なのは国民の結集。市民の決意を全国に発信し、どんな困難に遭おうとも先頭に立って返還要求運動にまい進する」と力強く訴えた。中学生を代表し、有田市立保田中学校3年の酒井俊輔君が北方領土返還要求運動和歌山県民会議の藤山将材会長のメッセージを代読。「子どもたちが自ら考え、関心を持つことで世代を超えて北方領土問題の解決に向けた積極的な運動を推進していく力になることを信じている」と述べ、長谷川市長に文書を手交した。

午後からは同センターに長谷川市長を表敬訪問。和歌山市立加太中学校3年の磯野志帆さんは「北方領土問題は日本全体の問題であり、一日も早く解決できるように私たちも考え、努力していく必要がある」とあいさつした。

その後、富山県、地元根室市の中学生と北方領土にちなんだビンゴゲームで交流。ワークショップでは「北方領土問題を知ってもらうために」をテーマに、6班に分かれて周知の方法を協議した。生徒たちはポスターやSNS、広告などのアイデアを模造紙に書き出し、班ごとに発表。「自分たちが中心になって広めていくことが大切」などと呼び掛けた。

研修最終日の6日午前は納沙布(のさっぷ)岬を訪れ、北方領土問題の啓発施設「望郷の家」と「北方館」を見学。返還運動の歴史を学んだ他、館内に設置されている双眼鏡で北方領土を眺めた。また、返還実現への固い決意を象徴する北方領土返還祈念シンボル像「四島のかけ橋」や全国の人々の意志を託して寄せられた石を敷き詰めた「希望の道」も見学した。

一行は午後2時50分に中標津(なかしべつ)空港を出発し、東京国際空港(羽田)を経由。7時40分、関西国際空港に到着した。

3日間の研修を振り返り、加太中学校3年の小川隼星君は「すごく充実した研修で、知らなかったことを学ぶことができた。家族や友だちに伝えたい」。同3年の利光柚季さんは「驚くようなことや不思議に思うこともあったけど、詳しく知ることができた。この経験をたくさんの人に知ってもらいたい」と話した。
(この連載は中島弾が担当しました)

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。