国画創作協会の全貌 近代美で100周年展

内覧会で学芸員の解説を聞きながら鑑賞する来館者

和歌山県田辺市出身の日本画家・野長瀬晩花(のながせ・ばんか)らが設立した「国画創作協会」の創立100周年を記念した「国画創作協会の全貌展」が12月16日まで、県立近代美術館(和歌山市吹上)で開かれている。同協会の回顧展は25年ぶり。全7回の展覧会出品作を順を追って展示し、近代絵画史に名を残す同協会の全貌を紹介。担当する同館の藤本真名美学芸員は「従来の日本画にとらわれず、自らの表現を追求した青年画家たちが発するエネルギーを感じてもらいたい」と話している。

国画創作協会は1918年、野長瀬の他、小野竹喬(ちっきょう)、土田麦僊(ばくせん)、村上華岳(かがく)、榊原紫峰(しほう)ら5人の日本画家が、新しい表現や創造を目指し、文部省美術展覧会(文展)に反発するかたちで創立。既存の日本画の価値観にとらわれない野心的な作品を、京都や東京の展覧会(国展)で発表した。

西洋美術に感化され、技法では岩絵の具を厚く塗り重ね洋画のように描いたり、エロチックやグロテスクとみなされた題材を選んだり斬新な表現を試み、10年間という短い活動だったが、当時の日本画壇に大きな刺激を与えた。

今展では5人を含め、34作家の国展出品作88点を前期(25日まで)と後期(27日~)に分けて紹介。このうち、村上の「日高河清姫図」(重要文化財)は安珍清姫伝説を基に、日高川のほとりにたどり着いた少女の燃え上がる情念を描いている。また野長瀬の「初夏の流」は、官能的な女性と自然を鮮烈な色彩で表現。榊原の「蓮」は幻想的な情景の中に1羽の小さな水鳥を描くことで、静けさを際立たせている。

藤本学芸員は「彼らの試みは日本美術界の新陳代謝を促した。国展の登場がなければ、日本画の停滞はもっと長く続いていたのではないかと思います。力強い作品をぜひ会場でご覧いただきたい」と話している。

午前9時半から午後5時(入場は4時半)まで。月曜休館。一般800円、大学生500円、高校生以下と65歳以上は無料(※22日は「県ふるさと誕生日」として入場無料)。学芸員による展示解説は、12月9日の午後2時から。問い合わせは同館(℡073・436・8690)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。