小林稔侍さんら栄誉 18年度の県文化表彰

小林稔侍さん(県提供)

和歌山県の文化向上や発展に貢献した個人や団体に贈られる2018年度の県文化表彰の受賞者が発表され、「文化賞」にかつらぎ町出身の俳優・小林稔侍さん(77)=東京都=が選ばれた。小林さんは「志の低い私ではありますが、この度、故郷の温かい特別な思いを賜り身の引き締まる思いです」とコメントしている。
1964年度から実施している表彰制度で55回目。来年1月31日に県庁で表彰式があり、表彰状などが贈呈される。
その他の受賞者は、「文化功労賞」が有田市出身の音楽プロデューサー・酒井政利さん(83)=東京都=、田辺市のノンフィクション作家・佐山和夫さん(82)、海南市のアマチュア音楽家・向山精二さん(72)の3人。「文化奨励賞」に和歌山市の長唄三味線奏者・杵屋多佳(本名・片岡明子)さん(66)、和歌山市出身の生物学者・細将貴さん(38)=東京都=、民俗芸能伝承の那智の扇祭り保存会(那智勝浦町)の2人と1団体が選ばれた。
受賞者の主な経歴などは次の通り。
【小林稔侍さん】 笠田高校を卒業後、映画の道を志し上京。62年、東映に入社、80年からは鈍牛倶楽部に所属し、映画「地獄の波止場」でデビュー。以後、任侠映画を中心に脇役として活躍した。映画「冬の華」をきっかけに映画やテレビドラマへと活躍の幅を広げ、87年には「夜汽車」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。00年には映画「鉄道員(ぽっぽや)」で同最優秀助演男優賞を受賞し、日本を代表する映画俳優としての地位を固めた。
【酒井政利さん】 有田郡保田村(現有田市)生まれ。日本コロムビア、CBS・ソニー(現㈱ソニー・ミュージックエンタテインメント)の音楽プロデューサーとして、南沙織、郷ひろみ、山口百恵らの布陣でアイドル全盛期を築いた。96年には㈱酒井プロデュースオフィスを設立。350人余りのアーティストを送り出し、功績が認められ、音楽業界初の文化庁長官表彰を受けた。
【佐山和夫さん】 84年、大リーグの外にあったニグロ・リーグの大投手を描いたノンフィクション作品『史上最高の投手はだれか』を発表し、高い評価を受ける。95年にはジョセフ・アストマン賞を日本人で初めて受賞。15年発表の『金栗四三―消えたオリンピック走者』は19年のNHK大河ドラマ「いだてん」のきっかけになるなど、各所に影響を与えている。
【向山精二さん】 串本沖でのトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件の救出劇やイラン・イラク戦争中のテヘラン邦人救出事件に感銘を受け、09年、これらを題材とした「紀伊の国交響組曲」の第5楽章「友情」を作曲。国内外でオーケストラや合唱団を指揮し、演奏会を行った。ローマやニューヨークでも世界平和を訴える演奏会を開催し、その情熱は国内外で賛美されている。
【杵屋多佳さん】 68年、長唄家元杵屋俊二に入門し、演奏や舞台公演に多数参加。和歌山、大阪を中心に長唄三味線の演奏者養成に努め、夫・藤舎呂鳳氏と和歌山市で「かしくの会」を主宰。和歌山城下の伝統文化を継承する活動も積極的に行い、文化庁と関西17大学博物館の連携的取り組み「大学の扉を開く」では「上方唄」や「黒御簾音楽」などを企画、出演している。
【細将貴さん】
田辺市で生まれ、和歌山市で育つ。生き物の進化や生態を研究のテーマとし、主にカタツムリを補食するヘビとカタツムリの左右性を題材に捕食者・被食者の共進化と種分化を研究。ヘビとカタツムリの進化史の一端を明らかにした。研究成果は高く評価され、14年には顕著な研究業績を上げた40歳未満の研究者に贈られる文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞した。
【那智の扇祭り保存会】
扇祭りは熊野那智大社の祭礼で、毎年7月14日に独特の形状をした12基の「扇神輿(みこし)」に神々を遷(うつ)し、御滝道に沿って渡御する。60年に県指定無形民俗文化財、15年に国の重要無形民俗文化財に指定され、保存会は、県の文化財指定を受けた同年に組織化。熊野那智大社を中核として地域の氏子や団体が協力し、祭礼を執行、運営。維持保存に努めている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。