県庁舎の歴史を語る 建設80周年記念シンポ

県庁舎について意見を交わすパネリスト

建設から80周年を迎えた県庁本庁舎の歴史を振り返り、保存や活用を考えるシンポジウム「和歌山県庁舎をつくった人びと」が24日、県立近代美術館(和歌山市吹上)で開かれた。約100人が、今も県政のシンボルとして親しまれる建物や、設計や建築に関わった人々に思いを巡らせた。

県教委と県建築士会が共催。このほど実施設計を担った内務省技師の増田八郎氏の家族から、多くの関係資料が県に寄贈されたこともあり、節目に広く県民に知ってもらおうと開催を決めた。

3代目となる県庁舎は、1938年(昭和13)3月31日に竣工。左右対称のネオ・ルネサンス風のデザインで、和歌山大空襲に遭いながらも完成時の姿をよく残し、2013年には国の登録有形文化財となった。

「和歌山県庁舎の歴史と魅力」と題した県建築士会副会長の中西重裕さんの基調講演では、重厚で荘厳な建物の見どころを解説。関東大震災後の教訓から耐震や耐火を重要視して建設が進められたこと、戦時中には建物を迷彩色にして戦禍をくぐり抜けてきたこと、昭和天皇が知事室に宿泊されたことなどを紹介し「一流の建築設計家たちの思いが形になっているのを実感する。今も事務空間として使われ、県民に愛されている建物が、将来も継承されていくことを願っている」と話した。

基本設計を担当し、和歌山城の再建にも関わった県の松田茂樹技師の歩みや、壁面のレリーフを手掛けた旧粉河町出身の彫刻家・保田龍門の功績紹介、建築過程が伝わる貴重な写真をスライドで映しながらの、5人の専門家の報告もあった。

ディスカッションでは、設計図の保管の重要性や、建物を次世代へ伝えることの意義を確認し合った。同市堀止東に住む女性(73)は「常々、県庁は美しい建物だと思っていました。なるほど、と感じる話が多く、人間的なつながりがあって建物が成り立っているのを感じました。私たちも大切に使っていきたいです」と話していた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。