光を高エネ変換 工業技術セがフィルム開発

開発されたフィルム

和歌山県工業技術センターは、低エネルギーの光を高エネルギーの光に変換する「光アップコンバージョンフィルム」を開発した。空気に触れても光が消えない透明なプラスチックフィルムで、すでに特許を取得。発電効率の向上や省エネなど将来的にさまざまな用途での実用が期待される。
これまでにも光アップコンバージョン現象は報告されていたが、液体中や空気に触れない状況下でのみ起こる現象だったため、実用化には至っていなかった。
同センターでは、5~10年先の県内産業振興を図るため技術を先取りして研究する「コア技術確立事業」のテーマの一つに「未利用光の有効活用」を策定し、2017年度から研究開発を開始した。
研究では、洗濯のりなどに使われる「PVA(ポリビニルアルコール)」を原材料としたフィルムを使用。2種類の色素を合わせた合成技術とフィルムを引っ張る加工技術を組み合わせた独自技術により、光アップコンバージョンを起こす透明なフィルムの開発に成功。低エネルギーの光を高エネルギーの光に変換する基礎現象を確認した。
現段階でフィルムの厚さは10~100ミクロン程度まで調整可能。薄くて曲げられるため汎用性が高く、さまざまな用途での活用が期待される。将来的には太陽電池にフィルムを貼ることで発電効率を向上させたり、窓用省エネフィルムや海外紙幣の偽造防止加工などへの応用が見込まれている。
実用化に向け、世界トップの色素開発技術者が集まるオーストラリア・ウロンゴン大学に研究員を派遣し、効率的な色素開発を研究している他、発光機構の解明とノウハウの蓄積などに努めている。
同センターの森智博主査研究員は「現状ではまだまだ基礎研究の段階。今後、県内企業と一緒に実用的な用途展開を目指したい」と話している。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。