特殊清掃の需要高まる 池内さん協会を設立

実例を基に作成したテキストを手に池内さん

一人暮らし世帯の増加に伴い、孤立死や「ごみ屋敷」などの問題の発生が増え、原状回復に専用の機材や薬剤、専門性の高い技術を要する特殊清掃の需要が高まっている。和歌山特殊清掃センター(和歌山県和歌山市松島)を運営する池内康二代表(35)は、一般社団法人を設立し、特殊清掃技術者を養成する取り組みを開始。孤立死などに直面する場合がある福祉関係者らにも生かしてもらいたいと考えている。

特殊清掃は、遺体があった場所などの清掃、消臭、除菌、害虫駆除、供養、リフォームなど一般的な清掃では対処できない現場の原状回復の作業を行うもので、高度な専門性が求められる。

国立社会保障・人口問題研究所が2018年に発表した15~40年の「日本の世帯数の将来推計」によると、65歳以上の高齢者の独居率は、男性が14・0%から20・8%に、女性が21・8%から24・5%に上昇する見通し。孤立死の増加が予想され、対応がますます重要になる。

池内さんは、5年にわたる同センター運営の中で共に仕事をしてきた解体、ごみ収集などの関連事業者と共に、昨年9月に一般社団法人全国特殊清掃協会(大阪市北区)を立ち上げ、理事長に就任。人材養成のためのテキストも手掛けた。

作成した「特殊清掃技術者養成テキスト」には、これまでに経験した約100件の現場の中から、孤立死、ごみ屋敷、ペットの多頭飼育、食中毒などの12例を取り上げている。依頼の電話を受ける場面から、現場の状況、防護服を身に着けて消毒剤を噴霧するなどの作業内容、清掃完了後に依頼者に引き渡すところまでを、ストーリーに整理して読みやすく紹介。写真も多数使い、現場の生々しい様子を理解しやすいよう工夫した。

受講者は、テキストの実例から3例を選択し、その現場に最適と考える作業手順を所定の用紙に記入し、感想も記す。同協会が解答を基に合否を判定し、合格者には認定証やバッジなどを授与する。

「共通する基本的な作業はあるが、その現場に応じた最善の処理法は、現場に立った人が考えるしかない」と池内さんは話す。

2017年に県内で発生したノロウイルスによる集団食中毒の際は、給食センターから依頼を受けた。早期の業務再開を目指すことが求められたため、消毒作業に取り掛かる前に洗浄の程度を確認できるATP検査を実施。細菌やウイルスなどの生物体の存在を数値で示す検査を行ったことで、消毒前後の測定値の比較によって作業の効果を示すことができ、給食業者の信頼回復にも役立った。

清掃業者がATP検査を行うことは一般的ではないが、池内さんは臨床検査技師としての勤務経験があり、公衆衛生の専門知識の上から取り入れている。特殊清掃センターを創業したきっかけも、細菌やウイルスの感染対策に関する知識を、新たな分野でも生かしたいとの思いからだった。

池内さんは特に、感染症対策の専門知識の必要性がますます高まるとみており、「ご遺体の第一発見者になる可能性もあるヘルパーさんらにも、目に見えないウイルスなどから身を守る方策を学んでもらえたら」と呼び掛けている。

問い合わせは同協会(℡06・6353・1558、ホームページhttp://www.tokusou.top)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。