マンモスの細胞核動く 近大ら研究で初確認

研究に使用されたマンモス「Yuka」の化石(近畿大学提供)

近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)と同大先端技術総合研究所(海南市)を中心とする国際研究グループは11日、シベリアの永久凍土に眠っていた約2万8000年前のマンモスの化石から取り出した細胞核をマウスの卵子に移植したところ、新しい細胞核を形成し始める動きを世界で初めて確認したと発表した。大阪市内で同学部の宮本圭講師(37)と同研究所の黒坂哲講師(47)が記者会見し、「マンモスの復活に向けて研究を発展させていく上で重要な一歩だ」と話した。

近畿大は1996年から、約1万年前に絶滅したマンモスの復活を目標とするプロジェクトに取り組み、ロシア北東部のサハ共和国科学アカデミーなどと共同研究を進めており、今回の成果には、2010年に同共和国で発見された若い雌のマンモス「Yuka(ユカ)」(発見地のユカギルにちなみ命名)から採取した骨髄と筋肉組織が用いられた。

研究グループは、取り出したマンモスの細胞核をマウスの卵子に注入し、細胞核の動きを観察したところ、一部が細胞分裂の直前に見られる「紡錘(ぼうすい)体」を形成した他、マウス卵子の細胞核がマンモス細胞核の一部を取り込む現象も確認した。

化石由来のマンモス細胞核の損傷したDNAが、マウス卵子が持つ修復機構によって実際に修復される可能性を科学的に示した初めての研究ともなった。損傷が小さく、より保存状態の良好な細胞核が得られれば、細胞分裂まで至り、個体に成長する受精卵の作製にもつながる可能性があるという。

宮本講師は、これまでの研究で特定されていたマンモス内のタンパク質は126種類だったが、今回の研究で869種類の特定に成功したと説明し、「特に筋肉の保存状態が良かった」と強調。「マンモスの研究をさらに深め、古生物学と進化生物学の分野で既存の考え方を崩すパラダイムシフト(劇的な転換)を起こしたい」と意欲を示した。

黒坂講師は「マンモスの細胞核を他の動物に移植して動きを見たこと自体が初めてのこと。今後、新しい知識を築いていく上で重要な下地となる」と研究の意義を話していた。

今回の研究成果は同日、イギリスのオンライン科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。