笑いに挑戦するアウチ 令和に輝く紀州人②

「アウチでーす」のポーズを決める井上君㊨、太田君

和歌山県岩出市に住む高校2年生、井上真翔(まなと)君(16)と太田匠君(16)は、漫才コンビ「アウチ」として出身中学校の文化祭でデビューした。幼なじみの日常会話のような2人の〝ナチュラル漫才〟が人気を博してはや3年。通学先や抱く夢は別々になっても、笑いへの挑戦、新しいものに取り組みたいという希望は同じ。周囲を明るく和ませる2人の活躍は令和の時代が本番だ。

井上君と太田君は家が近所で、付き合いは保育所の頃から10年以上。小学生の頃は、家の前でボールのぶつけ合いを延々と続ける1対1のドッジボールを楽しみ、田植えの時期には、用水路に給食の牛乳ビンのふたを浮かべ、家の前のゴールまでどちらが先に到着するかレースをした。ふたには印を付けなくても、「愛情で見分けることができました」という仲の良さ。井上君が那賀高、太田君が向陽高と学校は違うようになってもそれは変わらない。

中学生になり、2人が選んだ部活動はソフトテニス部。県大会で上位に入る強豪で一緒に汗を流し、井上君はキャプテンも務めた。

2年生の文化祭が近づき、「お前ら、ノリで出ろよ」と周囲に言われてその気になり、「漫才すんねん!」とふれ回ったものの、本番の3日前まで何もせず。切羽詰まった2人は部活後に汗と泥にまみれた練習着のまま、道端でネタの打ち合わせをした。

そんなデビューで好評を博した2人はその後、校内の行事で5回舞台に立ち、3年生の9月には岩出小学校へ出張公演。高校1年になった昨年9月の「第13回岩出市青少年育成市民大会」では、多くの大人の前で初の大舞台を踏んだ。

コンビ名は当初、2人の苗字を組み合わせて「井田(いた)」にしようとしたが、友人から「イタイやん!」との突っ込み。それに反応した太田君がすかさず井上君の太ももをパンチすると、「普通に痛いと言っても面白くないだろう」と井上君が「アウチ!」と叫んだことが決め手となった。

ネタ帳は作らず、簡単に打ち合わせるだけで舞台に立ち、会場とも会話をするスタイルが「アウチ」らしさ。活動を続けてこられた理由は「反省会をして次の課題を見つけているから」と井上君。反省会は〝テニス部精神〟によるもので、2人は中学時代の監督から「チャレンジ精神・地域貢献・勉強・掃除」の大切さをたたき込まれたという。「あのつらさに耐えられたことが明日の自信につながっています」と口をそろえる。

令和を迎え、「平成生まれは古くさいと思われるようになるのではと、一気に老けたように感じました」と笑う2人。将来はカメラマンを夢見ている井上君は「昔はこうだったのに…と現代を悲観するのではなく、その時代の良さを吸収できる大人になりたいです」、太田君は「とても面白かった小学6年の時の担任の先生に憧れているので、教師になりたいです」とそれぞれの道を話す。

それでも、「何でもできる時代だからこそ何でもやりたい。漫才はそのうちの一つ」と笑いへの情熱を燃やす。今後はもっと大きな舞台やコントにも挑戦したいと目を輝かせている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。