仏神像いかに守る 和歌山県立博物館で特別展

県内の魅力ある仏像や神像が並ぶ会場

県内の仏像や神像を一堂に集めた特別展「仏像と神像へのまなざし―守り伝える人々のいとなみ―」が6月2日まで、県立博物館(和歌山市吹上)で開かれている。文化財保護啓発の観点から写真撮影を許可。来場者に発信してもらう画期的な取り組みが試みられ、同館の大河内智之主任学芸員は「これからのまなざしは該当地域だけでなく、みんなの目で守る意識が重要。一人ひとりが当事者として考えてもらう機会になれば」と話している。

国宝4体、重要文化財10体を含む計76体を展示し、半数以上の40体が指定文化財。先日行われた学芸員による展示解説には100人近くが参加するなど、関心の高さをうかがわせる。

仏像や神像は信仰の対象や心のよりどころして、大切に守り伝えられてきたが、近年、過疎化や高齢化などを理由に、寺社の維持が難しくなっている地域が増加。仏像の盗難被害が後を絶たない危機に直面し、文化財を継承する対策が急務という。今後、地域の文化財といかに向き合っていけばよいのかを考えてもらおうと企画した。

所有者の許可を得て、特別に写真撮影を認め(一部を除く、フラッシュは不可)、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などでの発信を呼び掛けている。全国的には一部撮影可という展示はあるものの、これほど多くを対象とするのは珍しいという。

印南町の名杭地区で守り伝えられてきた美しい表情の「十一面観音立像」(印南町)は、寺を出て初公開。日本最古の「高野明神立像」(九度山町)や、はつらつとした作風で豪華な銅製飾りの「観音菩薩立像」(和歌山市)などが並ぶ。

この他、クラウドファンディングで賛同者を募り、修繕された「不動明王立像」(那智勝浦町)など、今後の文化財保護の在り方を体現するような仏像も紹介されている。

展示室にはこれら地域の宝を守り伝えるため、来場者からアイデアを募るコーナーも。大河内主任学芸員は「仏像や神像の盗難は予断を許さず、防犯対策は急務。地域と人々の歴史を守るにはどうすれば良いのか、皆さんと一緒に考えたい」と話している。

25日午後1時半からは、同館に隣接する県立近代美術館で、大河内主任学芸員による講演会「狙われる仏像―仏像盗難被害の現状と対策―」が開かれる。学芸員による特別展の展示解説は6月2日午後1時半から。

問い合わせは同館(℡073・436・8670)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。