沿線住民の思い描く 貴志川線テーマに映画

映画制作への思いを話す奥さん㊧と大橋さん

廃線危機から住民の力で復活した和歌山電鐵貴志川線の物語の実写映画化が企画されている。制作委員会やキャスティングはこれから調整され、大人も子どもも楽しめる「和歌山の映画」を目指して動き始めた。

貴志川線は1916年に前身の山東軽便鉄道が開業し、1961年に「南海電鉄貴志川線」となり親しまれていたが、2003年に赤字経営を理由に南海電鉄が廃止を発表。04年に廃止の届出が提出されたが沿線住民の熱心な存続運動により、岡山電気軌道㈱を母体に持つ和歌山電鐵に運営が引き継がれ、06年に「和歌山電鐵貴志川線」として再出発した。三毛猫の駅長たまが就任してからは、国内外の観光客も多数訪れるようになった。

映画は沿線の伊太祁曽神社の禰宜・奥重貴さんと小学校の同級生だった脚本家・村川康敏さんが再会したのが始まり。福井県のえちぜん鉄道を舞台にした映画『えちてつ物語 わたし、故郷に帰ってきました。』の脚本を務めた村川さんに奥さんが貴志川線の話をしたところ、村川さんは貴志川線の復興や駅長たまについて調べ、プロデューサーの大橋孝史さんと和歌山へ。貴志川線を取り巻く人々の話やネコと鉄道といったテーマに引かれ、村川さんにより脚本が書き上げられ、映画の企画が立ち上がった。

近年は高齢者や学生といった交通弱者にとって必要不可欠な公共交通にもかかわらず、財政難で廃線になっていくローカル線も多い。奥さんと大橋さんは「貴志川線で本当にあった話をもとにした映画の中で、地元の鉄道を守ろうとする住民の思いや鉄道会社の再建ノウハウを描くことで、鉄道が必要な人々の支えになれば」としている。

キャストや撮影時期などは調整中で、今後は協賛企業や協賛者を呼び掛けていくという。上映は2020年を予定している。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。