陶芸の魅力伝えたい 工房主宰の井出さん

陶芸作品や曼荼羅に囲まれた空間で

和歌山県紀の川市桃山町調月で陶芸教室を営む「陶治工房 幹(かん)」は、一風変わった工房としてひそかに人気を集めている。教室内には多数の美しい作品とともに曼荼羅(まんだら)や仏画が飾られ、代表の井出幹郎さん(69)の個性が色濃くにじみ出る空間になっている。

井出さんは和歌山市出身。子どもの頃から図工が好きで、泉南市で小学校教諭として勤務し、子どもたちにものづくりの楽しさや魅力を伝えてきた。

工房は2011年3月末、61歳の時に「多くの人に陶芸の楽しさや作る面白さを知ってほしい。教えたい」という思いからオープン。

教室は月に1回2000円、2回以上は4000円の値段だが、何時間でも陶芸練習が可能という自由なスタイル。良心的な値段設定と井出さんのキャラクターに魅了され、岸和田市などさまざまな地域からシニア層を中心に多くの生徒が足を運んでいる。

工房内を見渡せば、備前や志野、青織部、黄瀬戸の陶器がずらり。チベットやブータンの曼荼羅の他、井出さんが3年前から油絵で描いた曼荼羅6作品が飾られている。生徒が楽しく陶芸に励むことができる自由さと、厳かさが共存したひと味違った空間を演出している。

背景には真言宗の家に生まれ、高野山を訪れる機会が多かったことや、幼少の時に祖母が亡くなり死の恐怖を強烈に感じたことがあるという。

「曼荼羅は心を落ち着けるという意味がある。見守られると落ち着いた気持ちで陶芸に没頭できるので良い。また、人との出会いのありがたさを感じることができる」と井出さん。

「初めて陶芸をする人が、思いもよらない方法で作ろうとするのを見ると、とても勉強になる。教えているが、教えてもらっているという気持ちですると何年やっても思わぬ発見があります」と初心を忘れない。

工房に通うシニア層の生徒は「ここに来ると、もっとやりたい、向上したいという気持ちになる。いくつになっても新鮮な気持ちでいられるので毎日がとても充実しています」と笑顔。

井出さんは「子どもから大人まで、作ることの喜びや楽しさをこの工房を通して伝えていきたい」と話している。

問い合わせは井出さん(℡090・2590・5708)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。