高齢者分野で交流深化 県と山東省友好35周年

友好提携締結35周年記念会談を行った仁坂知事(右列右から2人目)と劉家義書記(左列右から3人目)

和歌山県と中国・山東省は友好提携締結からことしで35周年を迎え、今後は「高齢者・医療」などを重点分野として、さらに交流を深める機運が高まっている。10月に仁坂吉伸知事を団長とする訪問団が同省を訪れた際、両県省の高齢者施設関係者によるフォーラムが開かれた他、12月4日に大阪市内で予定されている同省と関西の交流イベントでも主要テーマとなる。介護人材が不足する日本側と、高齢化の波が迫っている中国側の双方にとって有益な関係構築が模索されている。

中国では、2015年まで行われていた「一人っ子政策」により生産年齢人口が減少し、今後、日本など先進各国よりも速いペースで高齢化が進むことが確実視されている。

一方で、かつての日本と同様に、現在の中国国内では、社会保障の中で医療と介護を区別して考える認識はまだ一般的ではないという。急速に訪れることになる少子高齢化の波への対応が重要な課題であり、山東省側には日本の介護サービスや技術を取り入れたい思いがある。

18年4月、仁坂知事が訪中した際、会談した龔正(きょうせい)省長からの提案により、協力関係を推進していく重点分野として「高齢者・医療」が浮上。同年10月には、省都・済南市で開かれた高齢者産業博覧会に、省からの呼び掛けを受け、県から約10人が参加している。

友好提携35周年を記念した19年10月の訪中には、知事を団長とする訪問団として提携以降最大の159人が参加。うち県内高齢者施設の関係者が約40人を占め、済南市内で、両県省の高齢者施設関係者約120人による交流フォーラムが開かれた。

フォーラムでは県老人福祉施設協議会の竹中昭美会長(特別養護老人ホーム天美苑施設長、海南市七山)が講演した。

天美苑の取り組みについて、利用者が尊厳をもって生活を送れること、自立支援ができる環境づくりなどを理念に、施設運営を進めてきたことを紹介。介護人材不足の問題にもふれ、いち早く外国人職員を採用し、現在も介護福祉士の資格取得を目指すベトナム人留学生の実習を受け入れていることなどを話し、山東省の高齢者施設関係者から大きな反響があったという。

竹中さんは「山東省側から、高齢者施設の拡充を喫緊の課題と捉え、日本の介護を学びたいという強い熱意を感じた。介護人材への外国人の受け入れは避けられなくなっている。日本がどのように高齢者事業に貢献していくのかが大切になる」と話す。

省トップの劉家義書記は仁坂知事との記念会談で、高齢者・医療、農業、海洋経済、文化・観光、人的交流の5分野でさらに交流を発展させたいと提案。仁坂知事は、さらなる交流推進を確認し、高齢者・医療については「双方の協力により、高齢者が幸せになる交流を推進することが重要」との認識を伝えた。

12月4日には、山東省政府と中国駐大阪総領事館が主催する「中国山東対話日本関西交流イベント」が大阪市内で開かれる。

経済交流や協力関係の深化を図るもので、特に医療・介護分野で交流したいとの中国側の意向があり、県庁を通じて県内の関係事業者にも参加を呼び掛けている。同省からは関係企業約70社が来日する予定。

県国際課は「35年にわたる積み重ねがあるからこそ、より具体的で双方向のメリットを生み出すような交流になってきている」と話す。両県省の交流は今後、双方の社会課題の解決にも貢献する段階へと発展していくことが期待される。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。