子連れで働ける職場 支援受け開店の襷食堂

子どもと同じ空間で働けるキッチン

母親が子どもを連れて働け、年金受給世代が年金に頼らず活躍できる食堂「襷(たすき)食堂」が、和歌山県和歌山市十二番丁にオープンして2カ月がたった。食堂の調理場では、母親が仕込みをしながら子どもたちを見守る姿がある。

市内で飲食店を経営する奥畑公康さん(42)が、「働きたくても働けない人が働ける職場や環境をつくりたい」との思いで立ち上げた店。インターネットで資金を募るクラウドファンディングで、子どもの安全を確保するためのオール電化や防犯カメラなど、店舗の設備費用として100万円を目標に協力を呼び掛けた。約1カ月間で、目標金額の約2倍にあたる196万円が集まった。働き方改革が叫ばれる中、「世間の皆さんの共感や関心を得られた結果だと思います」と奥畑さんは話す。

店舗は、母と子が安心して働け、また客に迷惑を掛けることがないように、仕込み作業をするキッチンと客席のある食堂店舗が完全に分かれた設計。キッチン部は「ママが台所に立ち、子どもがリビングにいるようなイメージ」で造られた。子どもたちが過ごすスペースとの間に安全のための柵が設置されている他、子ども向けにリビング部分の壁の一面を黒板にするなどの工夫が施されている。

スタッフの薮田歩さん(33)は「前の職場では、子どもを実家に預けていたけれど、ここでは子どもと同じ空間で過ごせ、より安心して働くことができています」と笑顔。「冬休みなどの長期休暇では、さらにありがたみを実感できそう」と話している。また、子育てママ世代が忙しい早朝の時間帯(午前7時~10時)は、70代のスタッフが活躍中。

食堂は午前7時半に開店。朝定食から始まり、昼の定食、夜は牛すじ煮込みやおでんなど、家庭の味を大切にしたおばんざいメニューが中心で、一人でも立ち寄りやすいカウンター仕様となっている。

奥畑さんは「今後は子どもたちと高齢者が交流できるコミュニティーとして成長していきたい」と意気込む。「飲食業から始まるまちづくり」をコンセプトにしたプロジェクトはまだ始まったばかりだ。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。