農作業の所作を伝承 木本八幡宮で御田祭

唐鋤で土を掘り起こす所作を行う山本宮司

五穀豊穣と農業の繁栄を祈願する木本八幡宮(和歌山県和歌山市西庄、山本眞弘宮司)の神事「御田祭(おんださい)」が7日、同宮拝殿で営まれた。春の田作りから秋の収穫まで一連の農作業を表す所作が伝わっていることなどが貴重で、昨年3月に市指定文化財となってから初の披露となった。

新年に、その年の豊作をあらかじめ神前で祝う「予祝神事」。農作業の神事は県内で8件程度しか伝承されておらず、市内では同宮のみで、毎年1月7日に行われている。

神事には唐鋤(からすき)、鍬(くわ)、鎌、朳(えぶり)、簓(ささら)など木製の農工具を用いる。神職は、土を掘り起こし、あぜを塗り、種をまき、田植えをし、稲を刈り取るなど一連の農作業を示す所作を、太鼓に合わせて唄いながら行う。

土を起こす作業に唐鋤を使うことや、神事に用いたもみと稲穂が最後に参列者に配布される点は、県内では同宮の御田祭だけの特徴となっている。

ことしは地域住民や尾花正啓市長ら約30人が参列。山本宮司は、鍬であぜを塗る際は「クワックワッと打って、ツルツルやベタベタ」、種まきでは「まこうよ、まこうよ、ゆだねをまこうよ。まこうよ、まこうよ福の種まこうよ」など、独特の唄とともに所作を行い、祝詞の奏上や巫女(みこ)による舞の奉納などもあり、神事は約1時間にわたり続いた。

山本宮司(43)は「今は神職が全てしているが、かつては地元の農家の皆さんが自分たちで所作をして、祝詞などは神職が行っていた。神職として守っていくだけでなく、本来の形に戻しながら御田祭を保存していきたい」と話し、所作や口上を行う側への参加を呼び掛けた。

参列した木本地区の女性(72)は「きれいな所作が受け継がれていて素晴らしい。農家でなくても農作業の流れがよく分かる。これからも見せていただきたい」と話していた。
市の文化財指定を記念し、市立博物館(湊本町)では31日まで、かつて御田祭で使われていた道具類6点を、1階玄関ホールで展示している。午前9時から午後5時(入館は4時半)まで。期間中の休館は20、27日。同ホールのみの見学は無料。問い合わせは同館(℡073・423・0003)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。