医大と日高の診療所で遠隔診療 5G実証試験

移動診療車で県立医科大の専門医とコミュニケーションを図る田本医師㊨と、視察する久留米町長

㈱NTTドコモは8日、和歌山県和歌山市紀三井寺の県立医科大学と日高川町川原河の保健福祉センターで、次世代移動通信システム「5G」と高度診断・治療が可能な高機能移動診療車を使った遠隔診療の実証試験を公開した。川原河に派遣された移動診療車に医大の医師が乗車し、車内の高機能な医療機器を用いて医大の専門医に患者の情報を伝送。専門医は、高精細映像やタイムラグのないスムーズな通信下で診察ができることを確認した。

5Gは、現行の4G(LTE)に次ぐ第5世代の移動通信システム。通信速度は最大10Gbpsで4G(2010年当時)に比べて100倍以上に高速化。無線でありながら有線の光ファイバー並みの高速インターネットが可能になるとして期待されており、総務省の主導の下、研究、開発が進められている。同社では昨秋からプレサービスを実施中。今春に商用サービスが開始される。

実証試験のシナリオは、同センター内にある川上診療所の医師が、心疾患で通院していた62歳の男性患者から「咳がひどく全身がだるいため動けない」との連絡を受ける。過去に診療所で試行した心電図や心エコー動画などを5Gを介して医大の医師に提示し、医大の医師が移動診療車の派遣を決定。移動診療車は川原河の患者宅近くに急行し、乗車してきた医師が車内に患者を誘導後、心電図や心エコー動画を、5Gを介して医大の専門医にリアルタイム伝送する。専門医は過去と最新の情報を確認しながら診断を進め、車内の医師とも診断結果を共有するというもの。

移動診療車は同センター敷地内に駐車。医大側は地域医療支援センターの上野雅巳センター長らが対応。医大、車内それぞれモニターを見ながらのやり取りでは専門医から「非常にスムーズに映し出されている」「新たに心筋梗塞の発症は考えにくい」「咳は感冒のようなもの」などとの声、診断があり、トラブルもなくスムーズに試験が終わった。

車内には4Kカメラ、心電図、高機能エコー(心エコー)などが設置されているが、特に心エコーは持ち運び可能な大きさではなく、車に積んで患者の近くまで移動できれば診断の心強い味方になるという。車内で診察した県立医大救急科の田本花織医師は「相手がその場にいるかのように話ができ、大変やりやすかった」と感想を話していた。

この日は前総務大臣の石田真敏衆院議員、地元の久留米啓史町長と熊谷重美議長をはじめ、多くの関係者が同センターで試験を視察。石田衆院議員は「移動診療車が患者のお宅に行けるようになるのは非常にいい」、久留米町長は「高齢化が進み、医科大やひだか病院に診察に行くのは難しいという人もいる。こういった技術の活用で住民の安全、安心が確保できればありがたい」と期待していた。

5Gの遠隔診療実証試験は3年目。今回の移動診療車の実用化時期は未定だが、実用化されれば過疎地域でも専門医の診察が受けられるようになり地域医療の充実につながる。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。