総額1900万円交付金不正 和歌山市が15人を処分
和歌山市は18日、子ども会活動を支援する交付金約1000万円の不適正使用と、市内の2児童館で実態のない人権教室などに講師謝金計約930万円が支払われていたことが発覚したとして、市民環境局のセンター長(57)を停職6カ月とするなど、職員15人(いずれも男性)を処分した。
市の発表によると、交付金の不適正使用があったのは平井子ども会。センター長は公務外で同子ども会事務局長を務めており、2013~17年度の5年間にわたり架空の領収書などを提出し、1017万1278円を交付されていた。
交付金は指導者の研修会参加費などに使用していたが、領収書を提出せず、調理実習の食材やキャンプの備品購入など子ども向けの学習や体験活動に使ったとする領収書や、知人からもらった白紙の領収書に自ら記入したものなどを提出していた。私的流用は認められなかったとしている。
同館職員が18年8月に公益通報したことで発覚し、市が調査していた。交付金は今月14日に全額返還されている。
同子ども会の副会長を務める市民環境局の副課長(56)は、センター長の不適正使用を知りながら支出に合意していたとして、減給10分の1、1カ月の処分を受け、同交付金を担当する青少年課の当時の課長2人は訓告となった。
不適正な講師謝金の支出は、平井児童館で13年4月~18年9月に596万5670円、鳴神児童館で13年4月~18年12月に333万5050円あった。両児童館では、人権教室や識字学習の開催実態がなくても謝金を支払う業務が慣例化し、職員に引き継がれていた。謝金は全額返還の確約を得ているという。
市は他の6児童館も調査し、不正な支出は認められなかったとしている。
職員の処分は、平井児童館について報告を受けながら、実態確認などの適切な指示を怠ったなどとして教育委員会の教育局長(57)を戒告、当時の教育学習部長(61)を訓告、謝金支払いを担当する当時の生涯学習課長2人も訓告。架空の実績を報告した当時の児童館職員7人を厳重注意とした。
再発防止に向け市は、人権教室などの実施要綱を作成し、活動を把握する他、子ども会の会計管理の徹底などを行う。
さらに、職員の公正な職務執行を確保するため、市コンプライアンス委員会の設置を決めた。
富松淳教育長は「しっかりとした改善策を講じ、信頼回復に努めていかなければならない。市民に対し、信用を著しく失墜させたことを深くおわび申し上げる」と陳謝した。
記事元:わかやま新報
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