自立援助ホーム~家庭に恵まれない子供達の最後の砦~ 15~20歳までの若者と共に!指導員・吉川さん

和歌山市にあるマンションの一室。夕げの食卓を囲み、少女たちが「ねぇ、ママ!」と話し掛ける。呼ばれるたびに取材を中断し、「何よ~」と笑いながら少女たちに寄り添う女性。非営利型一般社団法人「フラタニテ」が運営する自立援助ホーム、「明・咲・花」の指導員、吉川由香子さんだ。

「ホーム名は『あす・さく・はな』と読みます。私たちスタッフが愛を持って接することで、子どもたちは『自分は大切な存在である』ことに気付き、明日に向かって大きな花を咲かせるように名付けました」と話す吉川さん。若者たちへの熱い思いと明るい笑顔が印象的な、ホームのおかあちゃん的存在だ。

自立援助ホームでは、さまざまな事情により家庭や児童養護施設などで暮らすことが難しく、働かざるを得ない、原則15~20歳の青少年たちが共同生活を送る。児童福祉法第33条の6に基づき、安全で安心できる暮らしの場が提供され、生活指導や就業援助が行われている。

「全国自立援助ホーム協議会」に入会しているホームは国内に186施設(2020年5月1日現在)あり、和歌山県内には4つ。その中の1つが「明・咲・花」で、5人の男女がスタッフと生活を共にし、社会性を養いながら退所後の自立を目指している。

「衣食住の心配をせずに、自分の考えや将来をしっかり見つめられる。そんな当たり前の暮らしができなかった子たちが集まっています」と吉川さん。家や施設に居場所がなく、生きるために公序良俗に反する仕事に就いてしまったなど、荒れた生活を送ってきた子がほとんどだ。「明・咲・花」では、穏やかな生活環境を整え、入居者が若者らしい健全な主体性を育みながら、将来に向けての学歴取得や就職活動をバックアップする自立支援プログラムを展開している。

「子どもたちと信頼関係を結ぶのは、初めは大変ですよ。門限破りなどのルール違反はあるし、反抗されるし。『俺は人を信用しないから』とズバッと言い切られたりすることも」と苦笑しながら話す吉川さん。「でも、こちらはとにかく受け止める。他の施設から抜け出してきた子もいたけれど、世間や福祉の枠組みから外れた子どもたちを、まずはできる限り、支えたいんです」。

吉川さんは現職に就く前も、児童養護施設の職員や、自身が運営するパソコン教室での職業訓練など、家庭環境に恵まれない若者たちに対して、長年にわたり、さまざまな形で支援をしてきた。「私自身は、2歳で父を亡くしましたが、母や兄弟から愛され、近所の人にも気をかけてもらって育った」と語る吉川さん。そんな幼少時代を過ごしたから、「親や気にかけてくれる人と一緒にいられないことほど不幸はない」と強く思うそうだ。

「子どもはみんな、自分のことを聞いてもらいたいんですよ。甘えられる存在が必要なんです」と吉川さん。ホームの子たちは吉川さんのことをママと呼び、慕っている。いつでもその気持ちに応えられるよう、吉川さんはスマートフォンを手放さない。「特に寂しい気持ちが増す夜は、子どもたちからの連絡が増えますね」。

ホームで経験を重ね、自立の準備をした入所者たちは、基本的に20歳までに退所する。吉川さんは、成人を迎える男子には羽織袴、女子には振袖を着せてあげ、成人式に送り出します。「自分の生い立ちを悲観しない人生を歩いて欲しい!家族がいつまでも家族であるように、退所した後も、子どもたちの支援をし続けたい。一緒にご飯を食べて、生活を共にした関係は、離れて暮らすようになっても、いつまでも変わらない。『自立』が『孤立』にならないように、子どもたちにとって、いつでも帰ることができる場所でありたいですね」。

出会いが物語を作る、と語る吉川さん。若者たちの物語が未来へさらに広がるように、吉川さんの奮闘はこれからも続く。自立援助ホーム「明・咲・花」では、児童養護施設退所者に対するアフターケア―も実施しています。仕事に困った、生活に不安がある、家族がいなくて寂しいなどいろんな悩み相談も受け付けます。

自立支援ホーム「明・咲・花」に関する問い合わせは吉川さん(電073-488-6873090-6203-5873)まで。

自立援助ホーム「明・咲・花」ブログ http://asuka20190503.ikora.tv/

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