乙姫伝説描く新作舞台 紀三井寺開創1250年

『千年前から、君を探していた』出演者、スタッフの皆さん

和歌山の文化シーンを演劇の力で盛り上げようと活動している「演劇街道きのくにプロジェクト」(金澤寿美代表)は、第3回公演『千年前から、君を探していた』を10月に上演する。ことしが開創1250年に当たる紀三井寺(和歌山県和歌山市)に伝わる乙姫伝説をモチーフとした現代劇で、新型コロナウイルス感染症対策として、公演会場は座席数を減らし、インターネットでの配信も行う。

同プロジェクトは県ゆかりの演劇関係者有志らで2018年に結成。岩出市出身の劇作家・金澤さんが代表を務め、19年秋には、「和歌山マジシャンズクラブ」を創設したマジシャン・金沢天耕の自叙伝『酔筆奇術偏狂記』の舞台化公演を成功させている。

今回の作品に登場する乙姫伝説とは、1250年前、唐から日本に渡り紀三井寺を開いた為光上人が大般若経を写経した際、龍宮から乙姫が現れて観音霊場の建立を喜び、毎年8月9日に、海の中でも消えない龍灯を献上しに龍宮から訪れることを伝えたというもの。この伝説を由来とし、同寺では毎年の同日、一日の参詣で千日分の功徳が得られるとされる「千日詣」が行われている。

『千年前から、君を探していた』の主人公は、海南出身の香苗、24歳。ピアニストを目指して東京の音楽大学に行ったが夢を果たせずにいる彼女のもとに、失踪した恋人からの手紙が届く。「僕はまだあそこにいる。僕を探して」との言葉に荷物をまとめ、故郷に帰った香苗の周囲で、人々が失踪する事件が起こり始める。その事件の謎は8月9日の紀三井寺に隠されている…というストーリー。

6月にオープンした海南市日方の市民交流施設「海南nobinos(ノビノス)」での初の演劇公演となる。

新型コロナの影響で舞台や音楽などの公演が困難な状況のため、オーディションを断念するなどの苦しい決断もあったが、少人数出演、座席数減などの対策をして上演する。

金澤さん作、演出は前衛演出家の佐藤香聲さん、音楽監督は海南市のアマチュア音楽家・向山精二さんが手掛け、和歌山市のピアニスト・木谷悦也さんが作曲と公演での生演奏を担当する。

出演は、田辺市出身の栗須香練さん、紀の川市出身の坂口勝紀さんら和歌山ゆかりの俳優陣と、うえだひろしさん(劇団リリパットアーミーⅡ)ら総勢12人。

紀三井寺で金澤さんや出演者らによる記者会見が行われ、金澤さんは「過去と現在、生きている人と死んでいる人が交錯する物語。サスペンスやロマンティックな要素もある。和歌山、海南が演劇で盛り上がっていると印象を残せるような舞台にしたい」と意気込みを話した。

同席した同寺の前田泰道貫主は「紀三井寺を題材にした演劇はこれまでなく、取り上げていただき感謝している。千日詣に新しい見方が付与された思いがする。寺を挙げて応援したい」と期待を寄せた。

公演は10月3日午後1時、6時、4日午後1時、5時の4回。4日の2回は配信も行う。チケットは前売3000円、当日3500円、配信2000円。同寺納経所や海南市観光物産センター(JR海南駅構内)などで取り扱っている。

詳しくはホームページ(http://kw-planning.com/trk-project/)に掲載。問い合わせは同プロジェクト(メールmina@retoruto.com、℡090・6065・0470)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。