身近な魅力を海外に発信 菅沼さん・齊尾さん

「魅力の発信をお手伝いします」と齊尾さん㊨

「希望あふれる未来をデザインする」をスローガンに活動する、デザイン事務所Mart space(和歌山県和歌山市木ノ本)のアートディレクター齊尾茉里さんと、翻訳や通訳を手掛ける㈱プロスキル(同市西高松)の菅沼直子さんがタッグを組み、〝ワカ山ハッシン〟という新たなサービスの提供を始めた。withコロナ時代における外国人観光客や消費者のニーズを調査し、翻訳(多言語化)やデザイン、コンテンツ作成、広報など事業者を対象に幅広くサポートする。

2人は県主催の経営塾「わかやま塾」の卒業生。齊尾さんが3期生、菅沼さんが5期生で、塾生として共に活動することはなかったが、菅沼さんの講演を聞いて「面白そうな人だな」と齊尾さんが翻訳を依頼したのが交流の始まり。

菅沼さんは東京生まれで、父親の仕事の関係で小学校3年生までサンフランシスコ郊外で過ごした帰国子女。東日本大震災を機に、4人の子どもと和歌山に移住した。国際的な感覚と都会の人ならではの視点を持ち合わせたそのユニークさと人間力に、齊尾さんは引かれたという。

“ワカ山ハッシン”には、魅力を発信する、和歌山から発進する、そんな思いが込められている。菅沼さんの視点を軸に、事業者それぞれが伝えたいことを引き出して多言語化し、齊尾さんのデザイン力やコンテンツで、海外に向けハード面、ソフト面の両面から魅力を丁寧に発信する。

新型コロナウイルスの世界的流行の影響を受け、ことし5月の来日外国人数は前年同月比99・9%減。和歌山においてもその影響は大きい。一方で、日本政策投資銀行と公益財団法人・日本交通公社が、アジア8、欧米豪4の国、地域の海外旅行経験者6266人を対象に、「新型コロナ収束後に行きたい国・地域(複数回答)」を尋ねたところ、日本は46%と2位の韓国の2倍以上の人気だった。

「外国人が訪日できない今こそ、インバウンドの課題を見つめ直し、整備するチャンスです」と齊尾さん。実際に旅行に出掛けなくても、非日常が味わえる紹介動画やバーチャル体験が注目される中、2人はアフターコロナに備え、「種まき」「仕込み」に取り組むことが重要だと口をそろえる。

“ワカ山ハッシン”では、飲食や物販、宿泊施設や企業サイトなど業種別にチェックシートを用意。丁寧なヒアリングをもとに、ウェブサイトや飲食店メニュー、店内案内などのローカライズ(翻訳はもちろん、その国の文化や習慣、宗教に合わせること)をはじめ、ターゲットのリサーチからマーケティング、ブランディングまでをワンストップで行う。

サイトやメニューなどを多言語化する上で多い失敗例としては、機械の翻訳に頼り過ぎて意味が伝わらない、写真やデザイン、コンテンツが外国人向けになっていない、などさまざまあるという。そして何より、それぞれが持つ魅力に気付けていない事業者が多いと菅沼さんは話す。

外国人の目線で見れば、魅力はすぐそばにあることも。「例えば、飲食店で外国人にお茶を出す場面。湯のみに入ったお茶を出すのではなく、急須を渡し自分たちでお茶を入れてもらう。これだけで、彼ら彼女らにとってはスペシャルな体験になるんです」。まるでセルフサービスのようで、もてなす側としてはなかなか思い付かない発想だが、“日本茶を入れる”ということは、外国人にすれば、日本でしか体験できない貴重な時間なのだという。

「これからの時代、『より付加価値の高いもの』が求められるのでは」と齊尾さん。観光客や消費者が旅行や消費に求めるものは、よりスペシャルで、よりパーソナルなものに変化していくと予想する。菅沼さんは「身近過ぎて見えていない『もの』や、単に知らないだけで気が付いていない『こと』など、それぞれが持つ魅力は実はたくさんあります。私たちと話をすることで、新たな視点で見直すきっかけになればうれしいです」と笑顔。齊尾さんは「伝えたい人に伝えることをサポートします。事業者の皆さんと一緒にワクワクしながら未来を描き、和歌山からハッシンしませんか」と呼び掛けている。

問い合わせは菅沼さん(suganuma@proskill.co.jp)または齊尾さん(℡050・3578・1624)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。