版画の名作紹介 近代美術館で50周年展

近現代版画の名作が並ぶ会場(特別展)

和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上)の開館50周年を記念する特別展「もうひとつの日本美術史 近現代版画の名作2020」と企画展「和歌山県立近代美術館 コレクションの50年」が19日、同館で開幕した。県ゆかりのアーティストをはじめ、半世紀にわたり近現代の作家を調査・研究し、作品を収集してきた同館の歴史と、特に力を注ぎ、国内屈指のコレクションを誇る版画の名品を見ることができる。

同館は、1963年3月に和歌山城二の丸跡に開館した県立美術館を前身とし、70年11月、「近代」を冠した日本で5番目の国公立美術館として現在の県民文化会館1階にオープン。94年7月、現在の新館に移った。

前身の時代から作品を購入していた広川町出身の浜口陽三(1909~2000)をはじめ、和歌山市出身の田中恭吉(1892~1915)ら県ゆかりの美術家には版画家が多く、版画ジャンルの研究、作品収蔵の蓄積は同館の特徴の一つとなっている。

特別展は、江戸時代からの伝統がある木版をはじめ、エッチング、リトグラフ、メゾチント、シルクスクリーンなど多彩な技法が用いられ、具象や抽象、多様な表現が積み重ねられてきた日本の版画の歴史を捉え直す企画。県立近代美術館の版画コレクションを中心に、共同企画した福島県立美術館の所蔵品などを含め約370点が展示される。

会場では、明治時代の印刷物としての緻密で鮮やかな版画から、浜口の「パリの屋根」(56年、県立近代美術館蔵)、田中の「焦心」(14年、同)など県出身作家の作品、日本を代表する版画家の一人、棟方志功の「二菩薩釈迦十大弟子」(39年、千葉市美術館蔵)の他、山口啓介「繭の記憶」(91年、国立国際美術館蔵)など現役作家の作品まで、時代を追って一堂に見ることができる。

企画を担当した主任学芸員の植野比佐見さんは「版画の表現はあまりにも多様であり、一般にイメージされているのはほんの一部。来場者がそれぞれ、自分の心に引っかかる作品を発見してもらえると思います」と話している。

11月23日まで。10月26日に一部展示替えを行う。観覧料は一般800円、大学生500円。

一方、企画展には県立近代美術館所蔵(一部寄託を含む)の約120作家、160点を展示。作品の時代順ではなく、前身の県立美術館時代を含め、収蔵した時期に沿って作品が並び、郷土作家の掘り起こしから始まり、関西、日本、海外へと広がっていった研究、収蔵の活動の歴史が分かる。

郷土作家では、県民文化会館の緞帳としても知られる川口軌外の油彩画「少女と貝殻」(34年)をはじめ、石垣栄太郎、保田龍門、ヘンリー杉本ら、海外ではピカソやムンク、パウル・クレーらの作品を展示。絵画、立体、写真などジャンルも多彩で、活躍中の現代作家の作品も数多くある。

担当学芸員の青木加苗さんは「作品を通して、半世紀にわたる活動を知ってもらえる展示になっています。収蔵品でこれだけの展示ができることは誇り。県民の財産であり、多くの皆さんに見てもらいたい」と来場を呼び掛けている。

12月20日まで。11月2日に一部展示替えを行う。観覧料は一般520円、大学生300円。

両展示とも午前9時半から午後5時(入場は4時半)まで。月曜休館(9月21日、11月23日は開館し、9月23日、11月24日が休館)。高校生以下と65歳以上、障害者、県内在学中の外国人留学生は観覧無料。

問い合わせは同館(℡073・436・8690)。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。