6校で出前コンサート きのくに音楽祭

岩本校長(舞台右)が加わった「パプリカ」の演奏に手拍子をする児童ら(岡崎小)

演奏時の指について解説する「トリオ・アコード」(吹上小)

演奏時の指について解説する「トリオ・アコード」(吹上小)

和歌山県民参加の音楽の祭典「きのくに音楽祭2020」は、11日に全ての公演日程を終えた後、プロの演奏家たちが小学校やこども園を訪れ、出前コンサートを開く取り組み「アウトリーチ」が12日から始まっている。一流の生演奏に初めて接する子どもたちも多く、音楽を通して新鮮な感動と気付きを届ける有意義な教育の機会ともなっている。26日まで、6校・園で行われる。

同音楽祭は、県民が上質の音楽に親しめる機会を継続的につくろうと、昨年誕生。2年目の今回は、「子どもにこそ最高水準のものを」との音楽祭総監督、東京藝術大学の澤和樹学長の思いを受け、未来の和歌山の音楽文化の担い手を育むため、子どもたちへの取り組みに特に力を入れてきた。

音楽祭実行委員会は、県、和歌山市などの教育委員会の協力を得て、子どもたちへのパンフレットの配布など積極的な働き掛けを行い、学校での出前コンサートも初めて実現することになった。

12日は、和歌山市立広瀬小、吹上小の2校を、バイオリン、チェロ、ピアノからなるピアノ三重奏団「トリオ・アコード」が訪問し、ことしが生誕250年のベートーベンの音楽を届けた。

ピアノ独奏の「エリーゼのために」、バイオリン・ソナタ第5番「春」、チェロ・ソナタ第5番と、それぞれの楽器が主役の曲を演奏した後、ピアノ三重奏曲の傑作といわれる第7番「大公」を披露。三つの楽器の音色が溶け合い、合奏でしか実現できない豊かな表現、美しいハーモニーが生まれる瞬間を、子どもたちは体感した。

吹上小では全校児童279人が静かに聴き入った。演奏の合間には、クイズ形式で各楽器の特徴を紹介。ピアノの鍵盤は88個あることや、バイオリンとチェロで同じ音を出す時に動かさなければいけない指の幅の違いなどを、実演しながら解説した。

15日は、プロ吹奏楽団であるオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ(Shion)の金管五重奏が、同市のさつきこども園、岡崎小を訪れた。

岡崎小では、全校児童549人が、低学年、高学年に分かれて鑑賞。マーチ王と呼ばれるスーザの代表作「ワシントン・ポスト」、ディズニーのテーマソング「小さな世界」、映画「となりのトトロ」の音楽などが、トランペット2本とホルン、トロンボーン、テューバの編成で演奏された。

アンコールの米津玄師「パプリカ」には、ゲスト奏者として和歌山市交響楽団のトロンボーン奏者である岩本浩志校長も参加。子どもたちは六重奏に合わせて手拍子をし、「プロの音はすごくて感動した」などと楽しんだ様子だった。

岩本校長は「プロの本物の音を子どもたちに体験させてもらえるのは、何ものにも代え難いありがたいこと。教室だけではできないことを学んでもらえたと思う」と感謝。会場を訪れた富松淳市教育長は「コロナ禍で外出もしにくい中、子どもたちが音楽を体験する機会を持てることはありがたい。音楽祭の皆さんに素晴らしいコラボをしていただいた」と話していた。

各会場には他校の教員らも訪れ、「来年はうちの学校にも来てほしい」などの声も上がった。

アウトリーチは今後、関西を拠点に活動する4人の打楽器奏者による「パーカッションパフォーマンス・ビートジャック」が、海南市立北野上小、紀美野町立野上小を訪れる予定となっている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。