各界の功労たたえて 秋の褒章に県内11人

2020年秋の褒章受章者が3日に発令される。和歌山県関係の受章者は59~75歳の11人(男性9人、女性2人)。内訳は、各分野の業務に精励して模範となる人に贈られる黄綬が7人、公衆の利益や公共の事務に尽力した人に贈られる藍綬が4人。新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、拝謁は行われず、県庁や各省庁での伝達は検討中となっている。

今回を含めた県内の受章者総数は、男性974人、女性122人、3団体の計1099(黄綬496、藍綬592、緑綬5、紫綬6)となる。

晴れの受章者は次の皆さん。

【黄綬】上村誠(71)茶業、白浜町市鹿野▽浦木睦雄(63)新宮信用金庫理事長、新宮市三輪崎▽田谷節朗(65)きのくに信用金庫理事長、和歌山市塩ノ谷▽築野富美(65)築野食品工業㈱社長、かつらぎ町新田▽名手孝和(62)㈱名手酒造店代表取締役、海南市黒江▽福江敦志(64)日本製鉄㈱関西製鉄所エネルギー部エネルギー工場エネルギー整備課勤務、和歌山市木ノ本▽藤田貴司(68)㈱フジ設計代表取締役、田辺市文里

【藍綬】榎本光明(74)保護司、白浜町椿▽奥シゲコ(75)人権擁護委員、岩出市南大池▽萩野利赴(59)一般社団法人県鍼灸師会会長、田辺市むつみ▽堀正(74)保護司、串本町串本

 
1103火/7面1103
顧客目線で地域と共に

1978年に紀州信用金庫へ入庫。93年に同庫と和歌山信用金庫、南海信用金庫が合併し、きのくに信用金庫職員として職務にまい進。2013年の常務理事を経て2015年から現在の理事長に就任した。

約15年にわたり人事部長として採用に携わった。若い人には必ず「一人でも多くの人に出会うことは自分を成長させてくれる」と助言してきた。その根幹には「お客さまと同じ目線に立つ」という信用金庫の理念があるからという。小まめに顧客を訪問し、困り事の相談を聞き提案することで、町の金融機関として地域を元気にする役割を果たしていきたいと願う。日々の活動を通して地域が元気になれば、信用金庫も元気になるという共存共栄の考え方で、全職員が一丸になって取り組んでいる。

褒章は「個人として受けることになるが、お客さまに育てられ、人として成長させてもらった。地域のお客さまからの支援と職員全員の活動のおかげ。その積み重ねが私の財産であり、金庫の財産にもなった。私が金庫を代表して受け取る気持ちでいる」と笑顔で話した。

1103火/7面1103
一貫した経営姿勢でまい進

2001年2月に、「築野食品工業㈱」社長に就任。「こめ油」メーカーとしては全国トップクラスの有力企業に育て上げ、積極的な設備投資や研究、開発にまい進している。

「環境にやさしい製品が人々の健康と美につながる」との信念の下、食品メーカーや医薬品メーカーなどを対象とした営業基盤を確立させ、高い技術やノウハウ、工場内の安全衛生は、得意先から高い評価を受けている。

米を「日本の宝」とし、ブレのない一貫した経営姿勢で社員一丸で「ものづくり」に尽力。こめ油の製造過程で生じる有効成分を抽出し、海外部を設置して輸出実績を伸ばしているが、本社のあるかつらぎ町にも研究開発拠点を開設して地元の活性化にも寄与している。

米と疾病予防などに関する国際シンポジウムを3度成功に導くなど、リーダーシップにも長けており「これまでは社員と共に苦労をし、それを乗り越えてきた喜びの連続だった」と振り返り、褒章については「自分たちがやってきたことが認められてうれしい。励みになる」と優しい笑顔をみせた。

1103火/7面1103
地元の銘酒を世界へ

地元の人に「和歌山には素晴らしいお酒がある」と誇りを持ってもらえるように――。海南市黒江で生まれ育った。18歳から東京や京都で会社員として働いた。30歳で家業の酒屋を継ぐため地元へ。「良いものを造りたい」。その思いを胸に、とにかく生き残ろうと30年以上、懸命にやってきた。

地酒「黒牛」はうまみと幅のある味わいにこだわる。時流は追わず、米のうまみを引き出しボディのあるしっかりとした味に仕上げる。「良いものは高くても売れる。価格志向の和歌山で高いお酒を売れるようにしたのは名手さんや」。市場に衝撃と変革を起こした。目標は日々の暮らしの中で、親しまれる銘(名)酒を造り続けること。地元への思いとともにさらに販路を広げ、米国や中国、韓国など海外にも目を向ける。

歴史書が好き。座右の銘は孔子の論語の一説、「人知らずしてうらみず、また君子ならずや」。他人に理解されずとも恨まず、へこたれずにやり続けることを信条にする。受章については「ありがたい気持ち。これからもしっかりと頑張っていきたい」と喜んだ。

1103火/7面1103
より安全、省エネ実現

富山県出身。地元の工業高校を経て住友金属工業㈱(現日本製鉄㈱)和歌山製鉄所に入社した。

入社後は副生ガス設備の運転、整備を長く経験。副生ガスは有効な燃料である一方、爆発やガス中毒が発生する危険性が高く、かつては幅広い知識と豊富な経験のある人が現場で運転作業を担当していたという。福江さんは自身の経験と実績に基づき、副生ガス発生工場の操業データを活用することで、製鉄所のガスバランスの予測に役立て、設備の運転と監視を安全に、かつ遠隔自動制御できるシステムを確立した。これにより、経験の浅い人でも設備の運転、監視ができるようになった。また、製鉄所の排熱回収ボイラーの改善にも携わり、省エネや地球環境の保全に貢献してきた。

趣味は、読書や旅行など。小説をはじめジャンルを問わず読み、クラシック音楽を聴きながら読むことで「リラックスできて本の内容が頭に入る」という。旅行は今後「ハワイに行ってみたい」と話す。

「取り組んできたことを高く評価していただきうれしい。上司、同僚などに感謝したい」。そう話す目は輝いていた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。