よみがえる中世根来寺 21日展示施設開設へ

階段遺構の展示を説明する田中主査

日本中世三大遺跡に数えられる和歌山県岩出市の根来寺遺跡の展示施設が21日、グランドオープンを迎える。4月1日にプレオープンした半地下式倉庫や精巧な遺物レプリカに加え、発掘された階段遺構や石造物などが展示され、繁栄した根来寺の往時の姿を今に伝える施設となる。

根来寺は平安時代の終わりに覚鑁(かくばん)上人(1095~1144)によって高野山で開創された後、根来の地に移った。

戦国時代に日本に滞在したポルトガルの宣教師、ルイス・フロイスは「当時日本で最も栄えた寺院の一つ」とし、世界図にも「Miaco(都)」などと並んで「Negra(根来)」と示され、繁栄ぶりが世界に伝えられていた。

だが1585年、豊臣(羽柴)秀吉の紀州攻めに伴う「天正の兵火」により、同寺は本尊三像、大塔、大師堂、山門のみを残して焼け落ちた。その痕跡は発掘調査によって発見されている。

1976年、県は大規模農道建設に伴い発掘調査を実施。「天正の兵火」時のものとみられる焼土層から中世の遺物が大量に見つかった。その後、県と岩出市が調査を続け、約300の子院がひしめく中世の根来寺の姿が明らかになった。

展示施設の総事業費は1億1000万円。全体の面積は約730平方㍍。すでにある半地下式倉庫展示施設と遺物レプリカに加え、解説板6カ所と階段遺構展示施設、石造物展示の設置の他、バリアフリー化にも力を入れた。

階段遺構展示施設は6・7㍍×4・2㍍、高さ3・7㍍の規模で発掘された階段と通路を型取りして高精細レプリカを製作。全面GRC(ガラス繊維強化セメント)製の型取り遺構レプリカは全国で初めてで、GRCの高い耐久性により、覆屋、ガラス面による保護が不要となり、遺構本来の姿を露天展示する。

発掘された実際の石造物18個は、庭園風に展示している。

また、県福祉のまちづくり条例に準拠した県内初の屋外遺跡整備も特徴。手すりや点字ブロックの他、Uni―Voice(ユニボイス)のコードによる音声解説で、外国人や視覚障害者をはじめ誰もが楽しめる施設になっている。

オープンに先立って行われた内覧会で県文化遺産課の田中元浩主査は「誰もが見て、触れて楽しむことができる場所になった。ぜひ来てほしい」と呼び掛けていた。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。