膵がんドック開設 早期発見へ県立医大病院

超音波内視鏡検査を行う蘆田講師㊨

超音波内視鏡の説明をする蘆田講師㊧と北野教授

超音波内視鏡の説明をする蘆田講師㊧と北野教授

膵がんドックの開設を発表する(右から)山上病院長、北野教授、蘆田講師

膵がんドックの開設を発表する(右から)山上病院長、北野教授、蘆田講師

和歌山県立医科大学付属病院(和歌山市紀三井寺、山上裕機病院長)は、初期の段階で発見するのが難しく、他のがんに比べ特に難治とされる膵(すい)がんの早期発見、治療に向け、特化した精密検査が受けられる「膵がんドック」を2月1日に開設する。全国でも数カ所しか行っていない先進的な取り組みであり、膵がんによる死亡率が全国平均より高い県の現状改善を目指す。1月12日から予約の受け付けを開始する。

 
自覚症状出にくく 県内の死亡率5位

7日、山上病院長と消化器内科の北野雅之教授、蘆田玲子講師が同大で記者会見し、発表した。

膵臓は胃の後ろにある長さ20㌢ほどの左右に細長い臓器。体の深い場所に位置するため、がんが発生しても症状が出にくく、自覚症状が出てからの診断では、進行度合いを示す4段階のステージで3や4などに進行し、遠隔転移などのために切除不能となっている場合が多く、治療後の再発も多い。

国立がん研究センターの予測では、2020年の膵がんの年間罹患数は乳がんに次ぐ6位の4万2700人、年間死亡数は胃がんに次ぐ4位の3万6700人で、増加傾向にある。県内の膵がんによる死亡率は全国平均を上回り、17、18年と続いて全国ワースト5位だった。

こうした現状を克服しようと、県立医大付属病院は19年9月に「膵がんセンター」を設置し、各診療部門が組織を横断して連携することで、膵がんの診断や治療、教育、研究、地域住民の相談、他の医療機関との連携などを進めてきた。

北野教授は「無症状の人から見つける体制をつくらなければ、膵がんの早期発見は難しい」と話し、膵がんドックはそのための新たな取り組みとなる。

 
早期5㍉発見可能 超音波内視鏡検査

膵がんドックの検査内容は、血液、MRI、腹部エコー、超音波内視鏡など。中心となるのが超音波内視鏡検査で、胃カメラの先端に搭載した超音波装置により消化管の内側から高解像度の検査を行うことで、CTなどの画像検査では診断できない、5㍉程度の早期膵がんも発見できるという。

同院は消化器内科だけで膵臓の専門家が8人おり、検査結果はエキスパートがチームで検討し、診断を行う。

喫煙歴がある▽アルコールを毎日摂取する▽血縁者に膵がんの人がいる▽肥満傾向がある▽糖尿病がある▽慢性膵炎がある▽膵のう胞性病変を指摘されたことがある――などの人には、特に受診を勧めている。

検査プランは3種類あり、所要時間は3~6時間、費用は約10~12万円。完全予約制で、平日に一日当たり定員1人で受け付ける。

 
検診は控えないで コロナ禍で受診減

また、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、感染症対策を十分に行い、待ち時間も含めて専用の個室を用意するなど、安心して検診が受けられる体制を整えている。

コロナ禍でがん検診の受診率は全国的に大きく低下しており、膵がんセンターでも昨年4~9月に新規の精密検査を受けた人は前年から27%減っている。

さらに、現場で検査に取り組む蘆田講師は「検診控えのためか、症状のステージが進んでしまってから検査を受けに来る人が増えている印象がある」と危機感を抱いている。

山上病院長は「がん検診は不要不急ではない。病院内の感染リスクは小さい」と話し、膵がんドックの利用を呼び掛けている。

予約は12日以降の平日午前8時半~午後4時、「℡073・441・0489」で受け付ける。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。