県産品を仏へ シェフらとオンライン品評会

鷹野シェフから商品を評価され笑顔の加納さん㊨(15日、ジェトロ和歌山で)

長期化する新型コロナウイルスの世界的流行の中でも和歌山県産食品の海外販路を開拓するため、日本貿易振興機構(ジェトロ)和歌山貿易情報センター(柴田哲男所長)は、フランス在住の一流シェフやバイヤーと県内食品事業者によるオンラインの品評会、商談会に取り組んでいる。フランス語の商品紹介動画を作成するなど手厚く事業者を支援し、EU(欧州連合)市場に和歌山の〝本物の味〟を売り込む。

取り組みの大きな狙いの一つは、一流の和歌山の食材を現地の一流の人に紹介すること。県内事業者は、梅やミカンの加工食品、酒、しょうゆ、香味油などを取り扱う9社が参加している。

フランスでの日本食の普及に努め、現地のシェフやバイヤーらの幅広い人脈を持つパリ在住の飲食コンサルタント、佐藤大輔さんと連携し、ミシュランガイド二つ星のレストランを構える日本人シェフ、フランスの伝統菓子でパリのトップに選出された日本人パティスリー(菓子職人)ら一流の料理人と、フランスで日本食品を扱う実績ある卸売業者のバイヤーらが、試飲・試食をして県内事業者と語り合う、オンラインながら双方向の画期的な品評会、商談会を実現した。

ジェトロ和歌山によると、海外販路の開拓にはデジタルの「三種の神器」が欠かせないという。一つ目は商品の特徴や成分、価格などの基本データ、二つ目は商品の〝映(ば)える〟写真、三つ目が商品の魅力を伝える現地の言語対応の動画。コロナ禍で現地への渡航が難しくなり、デジタルの武器を持つ重要性はさらに高まっている。

ジェトロ和歌山は今回、自社で用意するのが難しい動画を作成。撮影クルーにフランス人を入れ、フランス人の目線で伝わりやすい商品紹介を工夫し、フランス語による各社1分から1分半程度の動画が完成した。

品評会、商談会は今月4日から、相手のシェフ、バイヤーごとに順次行っており、下旬まで続く。

県内事業者はビデオ会議システムで同時参加するため、通常は見る機会がない競合他社の商品アピールや交渉の様子、相手側の反応まで共有されている点も今回の取り組みの大きな特徴。柴田所長は「これまではあり得なかったことだが、事業者が互いに学び合うことができ、チームになってくる。オール和歌山でタッグを組むことにつながる」と話す。

15日は、フランス南東部の都市リヨンで二つ星レストランを営む鷹野孝雄シェフとの品評会に、6事業者が臨んだ。

鷹野シェフは各社の担当者に商品の製法などを尋ね、自身のレストランで使う場合のアイデアなども披露し、「丁寧に作られていて食材に対する愛情を感じる。生産者の個性がすごくあり、一般化された枠を越えた商品だ」と称賛。「僕ら(シェフ)がこうした食材を〝本物〟としてお客さんに伝えられることはうれしい」と話し、自身のレストランでの使用とフランスへの輸出を希望した。

参加した湯浅町の老舗しょうゆ蔵、㈱角長の加納恒儀さんは「ありがたい反応だった。ぜひ使ってもらいたい」と喜びながらも、輸出を実現するには商社探しなどさまざまなハードルがあることから、「地道な活動を絶やさず続けていかなければ」と気を引き締めていた。

ジェトロ和歌山は今後、同様の取り組みをフランス以外でも実施するとしており、県内事業者からの要望やニーズを募っている。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。