ダイナミックタレCF 県民ソウルフード復活へ

かつての看板や最後のタレを手に中さん㊧と東山さん

和歌山県民のソウルフード復活へ――。食品卸売会社の㈲丸三商店(和歌山市西浜)は12日午前9時から、クラウドファンディング(CF)で「焼肉・ホルモンのタレ ダイナミックタレ」を復活させるプロジェクトを開始する。県内初の新型コロナウイルス関連倒産となった㈱ダイナミック食品(同市永穂)の元社長、中秀彦さん(56)をはじめ、多くの協力者を得て、県民に愛された「ダイナミックタレ」の復活と進化を誓う。

ダイナミックタレは、みそをベースに、ニンニクやショウガ、タマネギをブレンドし、ごま油の風味を効かせた焼肉やホルモンのタレ。創業から55年にわたって県民に愛されてきたが、製造者である調味料メーカー、㈱ダイナミック食品が昨年8月、新型コロナウイルス感染拡大による売り上げ減少のため倒産した。

ファンに惜しまれながら姿を消したタレを復活させようと、「倒産からの再挑戦。和歌山の『ソウルフード』を美味しく救ってください!!」と銘打ったプロジェクト。CFサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」内で7月11日までの間に100万円を目標に協力を呼び掛ける。

父・正司さんが開発し、父子2代にわたって半世紀以上作り続けてきたタレを守れなかったことへの悲しみに暮れていた中さんに救いの手を差し伸べたのは、高校時代3年間同じクラスで、長年取引関係にあった同商店の赤井康造社長だった。

赤井社長も「このままなくす訳にいかない」と、地元の味を守るために奔走。県内で協力者が現れ、和歌山市坂田に新工場を整備してくれることに。中さんが製造責任者としてタレの開発を行い、同商店が営業窓口となって商談や配達などの業務を担うことが決まった。

中さんは「もう二度と失敗しないためにも、和歌山だけでなく全国に魅力を発信しようとプロジェクトへの挑戦を決めた」とし、「CFを通じて、タレの味はもちろん、創業者の思いなども知ってもらえれば」と話す。

同プロジェクトでは、同市和佐関戸の㈱MeatFactory協力のもと、県が誇る熊野牛や紀州和華牛のブランド牛とセット販売も実現。肉の甘みを引き立てる同タレとの相性を堪能できる。支援は1000円からでき、11種類のリターン(返礼品)を用意し、初回生産分の同タレは限定ラベルで届けられるという。

現在建設中の新工場は6月末に完成予定。完成次第、製造を開始し、8月以降は店頭販売、9月以降は新商品の開発も予定している。

同商店の営業部、東山祐輔さん(35)は、タレの復活を呼び掛けているSNSに寄せられる「待っていました!」などのコメントを見ながら、「ダイナミックタレの復活は、コロナで失われてしまった和歌山の食文化を取り返す挑戦でもある」と話し、「ローカルで55年も続くタレは他になく、改めて食べると感動するほど肉との相性も抜群なので、次の世代にも伝え続けていきたい」と意気込む。

「いつか再開したときのために大切に取っておいた」と話し、唯一残った1本のダイナミックタレのボトルを手にした中さんは「初回生産分の味が変わっていないかを確かめるために取っておいたので、変わらないダイナミックタレを手に取ってもらえるように頑張ります」と笑顔で話している。

記事元: わかやま新報 ※掲載記事内容は記事提供元で過去に掲載された内容になります。